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みんみん



 楽しい月曜日

あるいは趣味の話。


午後、金沢で仕事。今まで使ったことのない機材を使ってみたらよかったような気がする。これからはこの方式で行ってみよう。と思ったら来週が楽しみになってきた(といって今まで楽しくなかったわけではない)。よそでもそれが出来ればいいのだが。
まだ走り出したばかりなので向こうから緊張している感じが伝わってくる。
終了後、図書館でちょっとコピー。

香林坊(金沢の市内中心部)まで出る。
ソニ(ー)プラ(ザ)を見て、でも何も買わず、109の裏手に出て、Rallye(ラリー)という雑貨屋に行く。久しぶりだが改めて行くとやはりかわいいお店だ。片っ端から買いたくなるが、我慢してポストカード2枚と雑誌を2冊買う(それに、あまりにかわいいものが多すぎて全部かわいいと、なんだか目が慣れてしまってどうでもよくなってしまうのだ)。そのうち1冊は室生犀星特集。犀星「おぢさま」(>犀星『みつのあはれ』)とは今の私はとても思わないが、まあ気持はわかる。

それからフランソワという喫茶店に入ってみた。以前から気になっていたのだ。時間が止まったような空間だ。コーヒーとトーストを頼む。
どこに行ってもそうであるように私は、トースト、焼いただけで何も塗らないのって出来ますか、と言った。すると「ああ、そういう人が2人いらっしゃるんです。うちでは『空(から)パン』って言ってます」と返ってきたので、おっ、となんだか妙にうれしくなり、じゃその空パンを、と改めて頼む。
「普通は2枚なんですけど」と言われたので、1枚でもお願いできますか、というと、想像通り1枚でも大丈夫だった。きっと3枚や4枚でもオッケーだろう。
しかも「ゆで卵は食べますか?」と聞かれた。注文するとゆで卵か、甘いお菓子か、おかきのようなものが必ずついて来るらしい。ゆで卵は好きなので、はい、と答えると、それだけでいいですか、と言われて、いいです、と答える。更に、
「塩は要りますか?」
要りません、とも。
やがて来たコーヒーはカップになみなみと注がれていて、普通のお店の1.5倍はあった。コーヒーの量があまりにたっぷりとしているので、その重みでカップを持つのに少し難儀した。熱さのせいもある。
パンは、喫茶店のトーストとしては決して厚みがある方ではないかも知れないのに、妙に歯ごたえというのかひきがあった。
雰囲気はというと、実はかなり独特であるとも言えるのだが、ちょっとしたやりとりが良い感じだった。だから、また来よう、と思った。

109でお洋服を見て(今シーズンのアニエスがモノトーンもプリントものも一々みんなかわいく、心が動く)、上の階にあるミニシアターに行く。

映画を観るのがいちばんの目的。観たのは「1980(イチキューハチマル)」
http://1980-movie.jp/index.html
んもうすっごく面白かった。まあ基本的にはB級なんだけれども、1980年代にいろいろな洗礼を受けた者としては妙にリアルで、笑えた。観客は私より若い人が多く(でも案外観客は多く)、笑い声は出ず。
「近田春夫の身長って何センチか知ってる?」「矢野顕子とケイト・ブッシュって声が似てると思わない?」冒頭でそんなこと言われて目頭が熱くなってきてしまった(なぜなら私も「知りたい」し「思う」から)。最初がチープな感じでどうなるんだろうかと心配になったけど、だんだんジェットコースターに乗ったみたいにストーリーが展開していった。ビデオになったら買おう。
配役については、今までともさかりえっていやらしい感じがしてあんまり、だったのだけれど、悪くなかった(ちなみにりー氏は「すいか」@NTV以来すっかり好きらしい)。それよりなんといってもよかったのは、ともさか(元・B級アイドル歌手役)の妹役をやっていた蒼井優という女の子(岩井俊二映画によく出ているらしい)。聖子ちゃんカットが、んものすごくかわいかった。聖子ちゃんカット全盛期の時は私はまだ子供だったのだがもちろん知っている。お姉さんたちがブローしていたのも。それにしても今見るとなんてダサかわいいんだろう。
やっぱ女の子っていいなー。

80年代オマージュの音楽を聴きながら高速道路を走って帰る。
電子音はスピードを加速させるので夜のドライブには気持よすぎて本当はあまりよくない。

中華料理を食べながらりー氏にすげー面白かったよという話をする。映画の冒頭はりー氏の好きな岡崎京子オマージュでもある(cf.『東京ガールズブラボー』)。私にとって岡崎京子は、好きなマンガ家というより、ものすごくわかりやすい同時代的(同世代にあらず)マンガ家であると言える。特に『東京ガールズブラボー』などは。(作品としてはむしろ原律子の方がいいと思う。あの頃の文脈で言えば。)
りー氏と私の80年代におけるそれぞれの好みは必ずしも一致していないのだが(高校卒業後そちら方面に行ったらしいりー氏と、高校卒業と共に収束していった私)、私が暴走気味に興奮して話をするのに、「よかったね」という感じで餃子なんか食べながら答えてくれた。でも、それにしてもパンフレットに写っているケラ(元・有頂天。監督)は太っていて、往年の面影はないねえ、でも太りそうな顔といえばそうだよねえ、などと語り合う。

趣味が合うことが友達の第一条件ではない、とオトナになった今は思うけど、でもこんな映画を観ちゃうと趣味の話だけして盛り上がりたいー、と久しぶりに思ってしまうのだった。

2004年04月19日(月)
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