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■ ひな祭り
外に出たらあたたかかった。空気がやわらかいかんじがした。 こういう日に春一番は吹くのかな、と思っていたらやっぱりそうだったようだ。 でもそれは朝だけの話で、そのうち雨が降って、昼には本当に寒くなっていた。 明日は雪が降るとか言っているから。
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夕方、実家のおひなさまに会いに行った。 もう30年余のお付き合いだから、「見に」というよりは「会いに」という方が心情に近い。前々から出してあっただろうに、今日になって(しかもほぼ手ぶらで)行っているしまつ。 おひなさまは座敷の床の間の脇に飾ってある。 日が暮れてはりきっている猫(なぜか夕方はやんちゃ度が増す)はオスなのでおひなさまはあまり関係ないが、一応顔見せに行く。しかし床に下ろすとたいへんなことになるので、しっかり腕に抱えておく。 ぼんぼりも付けてしばし眺める。
ひな祭りの日はいつもちらしずしを食べることになっていた。 今日は母の帰宅が遅いので、実家では昨日食べたとのこと。「冷蔵庫の中にかんぴょうやしいたけを煮た残りがあるから、持って行かれ(=行きなさい)」と言われていた。遠慮なく頂戴して帰る。かんぴょう、しいたけ、にんじん、れんこん。ありがたい。
帰宅するなり米を研ぎ、浸水して、酒少々を入れ、昆布を敷いて炊く。 その間にすし飯用の甘酢を作り、菜の花をさっと湯がき、おすまし用の分を少しだけ取り分けて、後は塩昆布と和えておく。薄焼き卵を焼く。さめたらくるくる巻いて細く切る。錦糸卵を作るのはけっこう好きだ。 近所のスーパーにはまぐりは売っていなかった。もう売り切れていたのか。そんなわけでおすましの具は菜の花とわかめ。 生のほたるいかを茹でる。鯛のお刺身と。
食後に道明寺。 昔、JRで天王寺から奈良に向かったら、途中で「道明寺」という駅があった。もちろん道明寺粉を使った桃色の菓子が先なのではあるまい。 関西、特に奈良・京都の駅名地名は、そのまま歴史の教科書のようでいちいち驚いてしまう。「○○之荘」とか。 大学生のとき、奈良の大学に行った友人から届いたハガキに「今日は授業をさぼって自転車で1時間かけて唐招提寺まで行った」というようなことが書いてあったことがある。私とは違う時間と空間の中に住んでいるのかと思われた。
かつて東京在住だったころ、旅行に行きたいなあ、と母に言ったら、「あんたは毎日旅行しとるようなもんやろ」と言われたことがある。母にとっては東京は見知らぬ地のひとつだったから、憧れの意もこめてそう言ったのだろう。 確かに富山にはないものがあるだろう。そういう意味では旅行だ。しかしそれとはまた違う意味で、確かにあの頃は毎日旅行しているような気持だったことも事実だ。 今だってそうかも知れないけど。
本当は私の誕生予定日はひな祭りの日だった。でもこの春らしい日には生まれてこなくて、雪の降る日に生まれて来たらしい。臥薪嘗胆?
2003年03月03日(月)
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