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みんみん



 THE PIANIST

今日から3月。

郊外のシネコンでポランスキーの『戦場のピアニスト』を観る。
レイトショーだったが、そこそこ人は入っていたようだ。たまたまお昼(に放送されるのだ、富山では)の「開運!なんでも鑑定団」で、実在の人物であるところの主人公のピアニストのご子息が登場されたことは関係するのだろうか。

上映時間は約2時間半とかなり長いが、最後まで一気に見る。
面白いとは思うけど、パルムドールを獲るほどの映画かなあ、とりー氏。
「最近少なくない戦争映画のパターンという気がするし、カンヌの受賞パターンなのかなという気もして。『鬼が来た!』と同じじゃないかと思った」との旨。
『鬼が来た!』を観ていないのでなんともいえないけれども、それは違うんじゃないかなあ。香川照之怪演と伝え聞くのでつい勝手なイメージをふくらませてしまうだけなんだけど。

ホロコーストを描いた映画は他にもあるけれど、ひねりがない、という感想は他の人からも聞いた。
この映画ではやはりショパンの曲がかなり大きな意味を持っているのだろう。ピアニスト「だった」男が、ドイツ人将校の前で、戦時下のポーランドで、ショパンの曲を弾く。当時ポーランドではショパンの曲を演奏するのは禁じられていた。これより約100年前、ポーランドという国は世界地図の中になかった。祖国を失ったショパンは亡命している。
戦争が終わり、最後のシーンで演奏するのは、ショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」(オーケストラ用に編曲されたもの。この曲といえばホロヴィッツの演奏が思いうかんだが、そういえば彼もユダヤ系)。男は再びピアニストの生活を送るようになる。

最初の方はこちらもひたすら(ナチス)ドイツへの憎悪を共有するのだが、ストーリーが進むにつれて状況は変わってくる。
誰か「だけ」を悪者にしようとする映画ではない。
虐殺シーンについては、映画だから実際に目の前で殺人が行われているわけではないと知りつつもやはりどきりとする。今行われていないだけでかつて行われていたことは事実だし(今だってどこかで行われているのかも知れないし)、だからもういちど観たいかと言われたらためらってしまう。音楽のあるシーン−−実はそんなに多くはない、そのことが逆に効果的でもある−−はもういちど観てみたいとも思うけれど。

2003年03月01日(土)
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