酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2005年01月15日(土) |
『火のみち』 乃南アサ |
昭和のはじめ、南部次郎は14歳にして一家の運命を抱えてしまう。病気の母、幼い弟妹。頼りは姉がどこかから仕送りをしてくるわずかな金のみ。母が死に、金に困った南部次郎は谷やんという男に妹・君子を売りとばせと言われ、谷やんを殺してしまう。岡山刑務所で服役し、伊部からきた備前焼作家から陶芸を教えられ、南部次郎と彼を支える妹・君子の人生は大きく動いていく・・・
上下巻に恐れをなし、しばらく放置してあった物語に一気に引きずり込まれ読了しました。昭和から平成へかけた南部次郎と妹・君子の波乱の人生。豊かな時代に育った人間には理解しきれない辛さ・悲しさが詰まっていると感じました。当たり前のように<読み・書き>できる幸せがある。字が読めない、書けないだけで人生は厳しく、楽しむことすらできない。そこで自棄になって努力をやめるか、勉強をするか。そんなことが人生の分かれ道となってしまう時代があった・・・。ものすごくズッシリとしたものを読んでしまったと言う感覚で麻痺しています。
結局、この手で人の生命を奪った事実は、どれほどの時が流れたとしても消えることはなく、法の上での償いを終えた後も、次郎はずっと、その事実を背負い続け、さらにこれまでの人生を、ずっと怯え続けてこなければならなかった。人の言葉に。人の目に。血の色に。雨の晩にー。
『火のみち』 2004.8.3. 乃南アサ 講談社
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