酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2005年01月09日(日) |
『雨にも負けず粗茶一服』 松村栄子 |
遊馬(あすま)は、友衛(ともえ)家=(<坂東巴流>と称して武家のたしなみである弓道、剣道、茶道を伝える家柄)の長男。家を継ぐべく京都の大学受験を強制されていたが、受験をしないで教習所に通い免許を取得していた。それが親にバレてしまい、比叡山のお寺へ修行に行かされる事に・・・。言われるままに家を継ぎたくない遊馬は家出決行。小学生にしておくには惜しい弟の行馬から餞別を渡され、なぜだか一番行きたくなかった街、京都へ流れ着いてしまい・・・
これは読んでよかった。知り合いが絶賛していなかったら読まずに通り過ぎたに違いない物語。主人公の遊馬は自分の将来に悩み、あがく。敷かれたレールを走る事から逃げ出したはずなのに、遊馬の行く先々には<お茶>がついてまわってしまう。生まれながらに身体に仕込まれた礼儀作法やたしなみが遊馬の人生を少しずつ教えてくれる、遊馬という少年の気持ちのいい成長物語です。小学生にしておくには惜しいと思える弟の行馬をはじめ、遊馬をとりまく人間達が個性的で心優しくほろりとくる。キャラクターたちの勝利かもしれないなぁ。これはものすごーくオススメです。間違いない。
「そうかもね。でも、ボクはお兄ちゃんが何を言っても、それにのっちゃいけないんだ。カンナにぼこぼこにされちゃうから。気にしないでいいよ。これはボクの運命なんだ。ご先祖さまを見習って自分で切り開かなくちゃいけないんだ。ボク、家出したのはたったの八時間だったけど、<人生の意味>はそのときわかったから」
『雨にも負けず粗茶一服』 2004.7.15. 松村栄子 マガジンハウス
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