酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年11月29日(月) |
『複製症候群』 西澤保彦 |
下石(おろし)貴樹は、出来のいい兄に対してコンプレックスの塊。その貴樹と友達の前に空から七色に輝く《ストロー》が降りてきた。それに触れると触れた生き物の複製(コピー)が‘ぺっ’と吐き出されてくる。《ストロー》に閉鎖された貴樹たちとコピーたちの生存は・・・
この『複製症候群』は親本が刊行されてから5年後に文庫化。その時に西澤先生は読み返されて「全然、西澤保彦らしくないなあ」と戸惑われたとか。そう言われてみれば確かにキャラクターたちがあまり葛藤しないですね(笑)。 でも、やっぱりこれは西澤節だし、こんなヘンテコな設定でしかもミステリーなんて西澤先生にしか書けません! 久しぶりに読み返して面白かった〜v 特に《ストロー》に触れて‘ぺっ’とばかりに吐き出され、自分のコピーができちゃうなんて想像するだけでわくわく。コピーロボットが欲しいよう、と言う願望が一転、残酷極まりない閉鎖空間になっちゃんなんてひーどーいーであります。 個人的にはかなり好き。やっぱり変な作家だ。西澤保彦って。
「忠告しているんです。人間、相手が悪いことが明白だと、図に乗って追い詰める。それは結構だが、手加減てものを心得とかないと駄目ですよ、と言ってるんだ。そんな場合にでもね。人間、精神的に追い詰められると、何をしでかすか判ったもんじゃないんだから。さてー」
『複製症候群』 2002.6.15. 西澤保彦 講談社文庫
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