酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年11月27日(土) |
『永遠の朝の暗闇』 岩井志麻子 |
母子家庭で育った香奈子は、いい子で生きてきた。しかし、はじめて好きになった男が実は妻子持ちだったと知ったときから、なにかと戦うことになる。ただ‘普通’の幸せが欲しかっただけだったのに・・・
これはもう岩井志麻子さんの人生をベースにした私小説でしょう。すごいなと思うのは、自分の人生をここまで題材に提供できる神経の強靭さ。この神経の強靭さが岩井志摩子の強みなのかもしれない。好き嫌いは別として。 香奈子が出会って好きになってしまう男‘今井’が、岩井志麻子さんの別れた旦那さんのモデルだとしたら、ちょっと気の毒。岩井志麻子さんを選んだことが自分の判断だとしても、別れた後でここまで書かれるとは晴天の霹靂でしょうに。もっと可哀想なのは娘の美織。母に捨てられ、自分の居場所を見失ってしまう女の子。確かに産みの母であるシイナの主張するように人生は誰のせいでもなく、自分で背負っていくべきものだとは思います。が、しかし、母の与える無償の愛を得られなかった娘の寂しさに目を瞑りすぎているのではないかしら。それに気づかない無神経さは罪。 ‘今井’に怒っている感想をいくつか目にしたけれど、私はやはりシイナに問題があると感じました。シイナのような自分のために生きる人に振り回された人たちは‘普通’なんて手に出来ないと諦めるしかないですね。
「人生に『もしもあの時、ああしていれば』なんてのは、ないよ。想像はいくらでもできる。いくらでもできるけど、結局は無駄よ。やってしまった行動、事実として残るのは、一つだけだもの」
『永遠の朝の暗闇』 2004.8.25. 岩井志麻子 中央公論社
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