酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年11月26日(金) 『殺人症候群』 貫井徳郎

 「倉持さんはどうしますか。この仕事、受けてもらえますか」
 環敬吾は特殊工作チームに‘職業殺人者の存在’を調べるミッションに3人を呼び出していた。少年法や病気で守られた加害者を殺している存在がいるらしいと言うのだ。いつも陽気で磊落な倉持は、そのミッションから抜けた。驚く原田と武藤とは裏腹に環には何か予期していたように見える。そして環と2人が追い詰めた‘職業殺人者’とは・・・

 今回は、倉持真栄の哀しい物語でした。倉持だけでなく、哀しい苦しいやり場の無い怒り憤りを胸に抱えた人たちの。これをはじめて読んだ時には腰が抜けそうな驚愕感がありました。ものすごい物語なのです。よく例えられるのがハングマンVS必殺仕事人という構図。ハングマンはあんまり記憶にないのですが、必殺は頷けます。正義とはいったいなんだろう、と子供心に考えさせられたのが必殺でしたから。ごく単純な気持ちだけから言えば悪い奴らを「殺せ、殺せ」と言いながら見ていましたね。決してそれがいいことではないと感じながらも。
 ラストがまた曖昧に終らされていて、いったいどちらが生き残ったのか悩まされるところ。『失踪症候群』の初っ端に登場した日野義昭くんがさらりと締め括るあたりも心憎いです。そしてどうしても環と倉持のその後を知りたいと願ってやみません。

 結局、大事な人を奪われた悲しみを癒すのは、時の力しかないのだ。

『殺人症候群』 2002.2.5. 貫井徳郎 双葉社



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