酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年11月07日(日) 『太陽と戦慄』 鳥飼否宇

 越智啓示(おちけいじ)は新興宗教でボロ儲けする両親がいやで家出した。ストリート・キッズとなった啓示は導師と名乗る男に拾われる。他にも導師に拾われた訳ありの少年・少女達とロックバンドを結成。導師の危険思想に洗脳されつつ、ロックにのめりこむ。デビュー・イベントのその日、導師が密室で殺された? そして10年後、導師の作詞した歌詞にそった事件が勃発し・・・

 浦沢直樹さんの『20世紀少年』にインスパイアされて生まれたのではないかと邪推させられる物語でした。あの漫画の世界の根底にあるミュージック・シーンとまるで同じだから。とても面白かったのですが、読むうちにかなりパワーが必要だと感じたことも事実。若い人(10代とか)ならば熱狂する人たちも出現しそうです。破壊願望を持った人には読んで欲しくないですけど。うーん、問題作であることは事実です。ダークな青春物語と読み流せるならよいのですが。

「人々はいつの時代も救いを求めているんだよ。生きていくってことは楽しいこと、幸せなことばかりではない。誰だって苦悩や恐怖を抱えながら生きている。強い人間は自分の力で幸福の扉を開くことができる。でも、世の中には弱い人間だっているんだ。そんな人間にとっては、少しばかりの不安が絶望を生み、人生そのものが困難となる。自分ひとりでは耐えきれないから、なにかにすがる。自分の力を信じきれないから、なにかに祈る。人々の心をコントロールするなんてことは、たやすいことだよ」

『太陽と戦慄』 2004.10.15. 鳥飼否宇 東京創元社



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