酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年11月03日(水) |
『ノーカット版 密閉教室』 法月綸太郎 |
梶川笙子は早朝の校舎が好きで、教室に一番乗りをし、窓を開いて朝の冴えた空気の第一号を招じ入れるのが好き。その朝もそうできるはずだった。密閉された教室の中で中町圭介が血まみれで絶命していなければ。そして教室にはあるべきはずの机も椅子も消えていた・・・?
てっきり読んでいると思っていた法月さんの『密閉教室』ですが、ノーカット版を読み出して「あ、読んでないや」と気づきました。それだけ有名で切り取られたエピソードばかり知りすぎていたゆえの悲劇とでも申しましょうか(苦笑)。 さて、これは言わずと知られた法月綸太郎さんのデビュー作のノーカット版です。本当に有名な編集者の宇山氏が、「長すぎる。もっと簡潔に」と指摘し、推敲されたものが世に出ていたわけですね。今回、私が初めて(!)読むことになったノーカット版は、要らないもの(?)を削ぎ落とす前の「『密閉教室』の700枚の草稿を、ほぼ無修正で(!)活字にしたもの」になります。結果的にこれしか読んでいない私には、それなりに楽しめました。若さが感じられていいと思います。長かったけど。 消えていた机や椅子。コピーの遺書。密閉された教室。主人公の工藤順也のあぶなっかしい探偵振りや心の動き(動揺)などが痛々しくて好きです。一人の少年の死の陰にある陰謀には賛否両論も仕方ないかと思うけれど、フィクションなのだからOKでしょう。物語は楽しんだモン勝ちってつくづく思わされた作品です。
18歳/19歳、いかなる形であれ、その差は計り知れないほど深く広い。目に見えない日付変更線のように。
『ノーカット版 密閉教室』 2002.11.7. 法月綸太郎 講談社
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