酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年10月22日(金) 『ノルンの永い夢』 平谷美樹

 兜坂亮(とさかりょう)は、育ての親とも言うべき老医師・鳴滝弘一の反対を振り切り、SF新人賞受賞のため岩手から東京へ向う。授賞式でさまざまな人と出会い、帰ってみると置手紙だけを残し、鳴滝の姿はなかった。寂しさを執筆で紛らわせようと亮は、ある出版社からの提案の実在した本間鐡太郎という天才数学者のことを小説にしようと動き出す。そして本間鐡太郎のことを調べていくうちに、亮の周囲で不穏なできごとがはじまり・・・

 <時間>を自由に行き来できたら、と言う人間の願い(欲望かも)は昔から変わらない。でも可能だとしたら、どうしてもひずみは生まれるだろうし、やはりタイムトラベラーは悲しいものかもしれない。さまざまな<時間もの>を読んだけれど、この『ノルンの永い夢』はとても良かった。ラストに近くなると展開についていくだけで必死。パパパパパッと場面や時間や視点が揺らぎ、そこが魅力だと読了後に感じた。自分も時間を移動したかのように疲れてしまうけれど(哀)・・・

 本当はそんなことじゃない。自分さえも知らない何かが、この衝動の中には隠されているような気がする。
 自分の意志としてカムフラージュされた衝動なのか? そうだとすれば、それは誰の意志なのだ?

『ノルンの永い夢』 2003.11.30. 平谷美樹 早川書房



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