酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年10月15日(金) 『バラ色の怪物』 笹生陽子

 中学2年生の遠藤は始業式で貧血を起こしてしまう。奇人で有名な吉川ミチルが屋上で派手なパフォーマンスをした直後の事だった。遠藤は母子家庭。母の自転車が紛失したので真夜中過ぎまで探したゆえの寝不足のためだった。遠藤は倒れた時に眼鏡を割ってしまい、母に迷惑をかけずに自分でなんとかしようとアルバイトをはじめるのだが・・・

 ほんの中学2年生の少年が体験する闇の世界。小さいながらも悪は存在するし、遠藤はいろんなものを見て考えて学び取っているのだと思う。ただ珍しく読後感が重苦しい感じがして意外でした。もう少し吉川ミチルにフォーカスあわせて欲しかった気がすることも残念。

 闇を嫌って光を求める人の心はもろくて弱い。醜いものや不愉快なものに恐れおののく人々は、自分自身の醜さや愚かさを知ることもない。吉川はそれを知ったのだ。あの遊歩道で、はっきりと。目をそむけたくなるものたちから目をそらしてはいけない、と。

『バラ色の怪物』 2004.7.20. 笹生陽子 講談社



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