酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年08月07日(土) |
『ネバーランド』 恩田陸 |
松籟館(しょうらいかん)は男子校の寮。古くて歴史的な建物。冬休みに事情があって帰省しない(できない)菱川美国・篠原寛司・依田光浩。そして寮生ではないが何かと寮に入り浸っている瀬戸統。4人は閉鎖された空間を共有するうちに反発しあいながらも、4人のリズムを作り上げていく。4人4様の悩みやトラウマをゲームを借りて吐露し、乗り越えていく・・・
『夜のピクニック』を読んだためか、どうしても読み返したくなってしまった『ネバーランド』。やっぱり陸ちゃんってばすごいですわ。久しぶりに読み返してもぐいぐい引きずり込まれてしまう。魔力だ(笑)。 冬休みの数日を4人とひとりの幽霊が過ごす。彼ら5人が抱えた悩みやトラウマが浮き彫りにされていく過程は、陸ちゃんマジック! 嘘をひとつ混ぜて語る告白ゲームは圧巻だったなぁ。 この物語の主人公は私的には光浩です。ドラマ化された光浩の訳ありの年上の相手は美しい女優さんだったけれど、物語では50過ぎのぶよぶよの厚化粧のおばさん・・・げーですよー。だからドラマより小説の方が絶対的に面白い。またドラマでは、美国の元カノや妹がやたら登場していたけれど、小説ではほぼボーイズONLY。そちらの方がすっきりまとまっている感じ。男だけの妖しい感じが生きてくるから。あぁっ、語りだしたらとまらないわー。 心に抱えた重いものを吐き出す行為は、救いにつながるんだなとつくづく思います。陸ちゃんの作品でもかなり好きな作品です。
「いつも、そうだ。大人はみんなそうだ。全てが終ってから、俺の知らないところでやりたいことを全部やってから、許してくれって言うんだ。俺の目の前から姿を消してから、分かってくれって言うんだ。いつもいなくなってから俺を苦しめる。こっそり何年も溜めておいて、後からひとまとめにして打ちのめす。俺がどんなに傷つくか、どんなに苦しむかも知らないで。誰も説明なんかしてくれない。どういうことなんだってきこうと思っても、いつもその時にはもう誰もいない。みんな自分のことしか考えていない。誰も俺のことなんかこれっぽっちも気にかけちゃいないのに、俺には自分のことを分かってくれって言う」
『ネバーランド』 2000.7.10. 恩田陸 集英社
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