酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年08月01日(日) |
『夜のピクニック』 恩田陸 |
風変わりなイベント。夜を徹して八十キロを歩きとおすと言う「歩行祭」。その高校の卒業生は誰もが歩行祭について懐かしく語るのだった。高三の貴子は、パーソナルな事情から近づきたくても近づけなかった融と話したいと思い、ひそかにある賭けをする。そして賭けに勝ってしまう。貴子と融、ふたりの距離は縮まるのだろうか・・・。
本当に陸ちゃんって引き出しの多い、不思議な人だなぁと思います。この物語は青春どまんなか路線ではなく、ホラーやミステリィに流れるはずだったみたいです(笑)。ホラーだったら、ひとりひとり消えていくんだろうなぁ(大笑)。ミステリィなら謎を語り合うのかしら(ってどこかで聞いた筋)。それまた別の物語で読んでみたいものです。とくにホラー・ヴァージョン! さてさてこの物語を読みながら鮮やかに高校時代が甦りました。なつかしくてせつなくて愛しい日々。貴子が親友の美和子と高校時代の恋愛について語り合うシーンはたまらなかった。私は高校時代にこの人だ!って人とめぐり合い、愛し合えたし、結ばれたから。その彼が若くして亡くなったことは人生の瑕というかあまりにも残酷な現実だったけど、私は何度でも彼と巡り合いたいと改めて感じたし、あの記憶はまさしく私だけのものだと確信したのですよ。しみじみ。 青春と友情と恋心とほんのちいさなミステリー。メインの貴子と融もいいけれど脇を彩る登場人物も極めて魅力的。陸ちゃんだからこそ描くことのできる世界ですね。最高v
あたしも、人に、できるかどうか分からないようなお願いはしないし、人の記憶に頼ったりしないよ。でも、あたしは覚えている。あたしの記憶はあたしだけのもの。それでいいんだ。
『夜のピクニック』 2004.7.30. 恩田陸 新潮社
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