酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年06月03日(木) |
『誰か』 宮部みゆき |
杉村三郎は逆玉の輿。財閥令嬢(訳あり)菜穂子と恋愛無理矢理結婚。周囲の妬み嫉みもなんのその、愛する菜穂子と一人娘・桃子との生活を何よりも誰よりも大切に慈しんで生きている。義父の大会社の広報室で働いているのだが(義父命令)、その義父から断れるわけもない頼みごとをされる。義父の運転手をしていた故・梶田さんの娘さんたちに会って梶田さんの思い出本を作る手伝いをしてやって欲しいと言う。梶田さんの娘はふたり。聡美と梨子。年齢も離れ、性格も対照的。そして杉村は、梶田さんの人生を辿りはじめるのだが・・・。
まったく宮部みゆきと言う人は底知れない。ただ甘甘の物語ではなく、人間ならではのいやらしさがピリリと効いていて、ものすごくせつなくなる。救いは杉村夫妻のラブラブっぷり(笑)。あんな夫婦っていいわーv 人は誰しも清廉潔白に生きていられないと思う。万が一にも私が死んだ後、自分の人生を辿られたら恥ずかしいなぁ。あんなことや、こんなことや・・・ハッ!そんなこともっ!! ダメだ。妙な死に方をしてもそのまま死なせてください。 残された人間の思いも痛いほどわかります。亡くなった旦那のこともっと知りたかったことありました。でも、きっと知らないままでいた方がいいのではないか、今ではそう思うようになりました。きっと私の知らない彼の人生を私が侵すべきじゃない。そして知ることが怖いのかもしれない。だってもうこの世にいない人なのだから。
「こんな素晴らしい才能の持ち主でも、寿命が尽きれば死ななくてはならない。神様は、そういう点でだけ厳密に公平なのね。そんなの、かえって残酷な気がするわ」
『誰か』 2993.11.25. 宮部みゆき 実業之日本社
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