酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年05月16日(日) 『声だけが耳に残る』 山崎マキコ

 加奈子は無職で引きこもり。父親の母親に対する暴力を目の当たりにし、精神のバランスが崩れてしまったことに気付かず生きてきた。ネットで知り合った邪悪閣下にMとして調教されていたが、バイトとして便利屋で働き始め、自分と向き合い始める・・・

 機能不全家族で育った人間はAC(アダルトチルドレン)となりやすい。加奈子はひたすら自分を虐めようとする。痛々しいまでに。しかし自分が求めていたものに気付いた時、加奈子が加奈子として覚醒をする。
 痛い痛い物語でしたよ。現実に起こった事件なども散りばめられていて。でも文章のテンポが良くて、加奈子の心の声が意外に明るくユーモアがあるため読み進めることができました。
 この物語のテーマはとても重いもので気軽に感想なんて書けないです。基本的に私は自分の不遇や何もできないことを親のせいにするタイプは受け付けませんし、20歳過ぎたら全ては己の責任と考えています。しかし、暴力(虐待)で歪められた心に対してはそういうふうに言えませんね。

 不幸な出来事を人生の災難と思うか、自分を育てるための石段だと受け止めるかで、人間の大きさは違ってくるんだ

『声だけが耳に残る』  2004.2.25. 山崎マキコ 中央公論新社



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