酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年04月24日(土) |
『黒と茶の幻想』より「第一部 利枝子」 恩田陸 |
学生街の焼き鳥屋で十数年ぶりに訪れた利枝子・彰彦・蒔生・節子の4人は旅に出ることになる。彰彦の具体的かつ詳細なプランメールにのせられ、本当に沖縄のY島へ。彰彦が3人に要求した宿題は「美しい謎」持参という風変わりなもの。J杉と三顧の桜を見るための道中に4人で謎について語り合おうと言うのだ。
「利枝子」 森は生きている、というのは嘘だ。・・・利枝子はそう思う。この旅で別れた男・蒔生と再会することに緊張する利枝子。そこでもたらされた情報。蒔生が離婚すると言うのだ。そして図らずも蒔生と利枝子が別れた原因の女性・憂理の失踪について話題が流れ・・・
『三月は深き紅の淵を』の「出雲夜想曲」にこの『黒と茶の幻想』について書かれています。《森の中を旅する四人の男女が淡々と自分が人生で遭遇してきた小さな事件を披露し、それを推理するという物語なのだが、謎の破片が惜し気もなくちりばめられ、奇妙なエピソードが羅列され、・・・》この文章から生まれた物語です。しかも、鍵を握る人物があの憂理とくる。まるでメビウスの輪の様につながり広がり永遠に終らない物語・・・。読んでいると不思議でたまらなくせつなくなってしまう。何度も何度も読み返してしまう。 利枝子は、美しく賢い女性。でも昔の理不尽な蒔生との別れが心の傷となっている。蒔生との別れの原因が今回の旅で解明されるのだろうか?
さて、お立ち会い。三崎彰彦が考えるミステリーとはいかなるものか? それはズバリ『過去』である。『過去』の中にこそ本物のミステリーがあるのだ。
『黒と茶の幻想』 2001.12.10. 恩田陸 講談社
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