酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年04月19日(月) 『さよならの代わりに』 貫井徳郎

 和希は劇団<ウサギの眼>に所属している。主催者の新條はカリスマ的存在。次の出し物のダメだしで和希は新條から声が出ないのは性格に問題ありと指摘される。うじうじと片想いを続けていることを知っているからだ。和希の片想いの相手はステーキハウスで見初めた智美さん。クールで美人で諦められるものではない! ダメだしの夜、和希は劇団の前で可愛い女性と出会う。彼女は祐里。新條さんの熱烈なファンらしい。可愛らしい容貌と言動で祐里は和希に接近し、だんだんと妙なお願いをしはじめるのだが・・・。

 最初、貫井さんはステーキハウスでよっぽど美しい店員さんと出会ったのだなぁと考えていました。先日読んだ『エロチカ』の中の「思慕」の設定がまるまる同じだから。でもよーく考えよう♪・・・と考えてみると、漢字が違うだけで同じ二人でした。なんじゃ、これは?と悩んでいるとe-NOVELSサイトで謎が解けました。この『さよならの代わりに』は「思慕」とはパラレルな関係らしい。おお、なんだか心憎い演出だわい。
 この物語は、和希が出逢った祐里に振り回されるさまが描かれています。祐里は謎の多い女性で、でも決して薄っぺらな娘じゃない。そこにだんだんと惹かれていく和希。この物語のスタイルは個人的には好きです。せつない終り方も非常に好み。面白かったなぁ。

 目立ちたくなきゃ覆面でも被っているしかないようなとんでもない美女のくせして、智美さんは地味な生活を送るのが好きだ。人付き合いが苦手で男っ気がなく、趣味はなんと読書。たぶん平日は会社に行って黙々と仕事をして、真っ直ぐ家に帰り、休日は家でおとなしく本を読んで過ごしているのだろう。そういう生活を送るなら何もこんな美人じゃなくたっていいわけで、資源の無駄遣いも甚だしい。

『さよならの代わりに』 2004.3.25. 貫井徳郎 幻冬舎



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