酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年04月18日(日) |
『高く遠く空へ歌ううた』 小路幸也 |
これで10人目・・・。ギーガンはまた死体を発見してしまう。春合宿(ビギンニングウィーク)で同室となった中等部三年生の柊さんに迷惑をかけると告白しつつ、合宿を抜け出すことにする。サボリは同室も同罪で罰則。3歳も年上の柊さんはさらりと「じゃあ、僕も一緒にサボるよ」と。ギーガンは能面のように無表情な少年だが、人を惹きつける不思議ななにかがあるらしい。柊さんをはじめたくさんのユニークな仲間達に囲まれ、ギーガンは自分の数奇な宿命と向き合うことになる・・・。
クスン。前作『空を見上げる古い歌を口ずさむ』でもぽろぽろ泣けたのですが、今回もさらにさらに泣けました〜。思えば、『空を見上げる古い歌を口ずさむ』を本屋さんで見かけるたびに不思議な誘惑に囚われ手にしたのでした。それはひとえに装丁を手がけておられる荒井良二さんのイラストがタイトルに合っていたからに他なりません。ですから読むまでは内容にはそんなに期待していなかったのです。でも装丁を裏切らない内容のよさで私はすっかり小路幸也さんファンに! 今回の『高く遠く空に歌ううた』を首を長ぁ〜くして待ちわびていたと言っても過言ではありません。 今回の物語は、まったく違う物語になるのかなと思っていましたが、きっちりパルプタウンの流れを受け継いでいました。心の奥深く仕舞いこまれた風景が甦ってくる。なつかしい遠い昔をやさしくほろ苦く思い出してしまう。小路さんの物語に登場する人物たちはニックネームで呼ばれます。それはちょっとだけ哀しいことだったりする。でもその哀しさを自覚している人は優しくなれる、小路さんはそれを繰り返し語ってくれます。 今、ちょっと心の揺れ幅が大きい私には、バイブルのような物語。優しくて暖かくて懐かしくて。大好きな人たちに「読んで」と言いたい。絶対に心に灯がともる。また生きていくことに希望が生まれる。こういう種類の本は少ないと思います。陽子、大絶賛。読んで。読んで。
「だからな、今までの悲しいことや辛いことは全部机の引きだしの奥にしまっておけ。そういうものが引きだしに一杯になって、いつかこぼれるかもしれないけど、それまで忘れていろ。そして未来にどんな自分がいるのかを、楽しみに生きろ。どんな将来を選ぶかを、楽しんで探せ。どんな道でも選べるのはお前たちガキの特権だ。余計なことは考えなくていい」
『高く遠く空へ歌ううた』 2004.4.8. 小路幸也 講談社
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