酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年04月03日(土) ドラマ『砦なき者』(原作:野沢尚)

 渋谷の有名美少女めい子が、首吊り自殺をした。前日に首都テレビの番組「ナイン・トゥ・テン」の企画で少女売春の元締めであるかのように報じられたことが原因と思われた。そしてライバル局の東洋テレビでめい子の恋人(?)八尋が独占インタビューを受け、涙を流し大反響となる。結果、メインキャスターの長坂は謹慎処分を受け、八尋はマスコミの寵児となる。しかし、ディレクターの逢沢瑶子は八尋のさまざまなウソ(詐称)を調べ上げ、ふるさと諫早で謹慎している長坂の元へ八尋との戦いを煽りにやってくる。瑶子の熱意と愛情に動かされた長坂は、メディアが生み出した悪意の申し子・八尋と対決するのだが・・・。

 うーん、まずは単発のドラマとしては非常に面白かったです。役所広司さんの演じるキャスター長坂は素晴らしかった。対する悪意のカリスマ八尋を演じる妻夫木くんも役所さんたちの胸を借りて、初の悪役をなかなかうまく演じていたと思います。なんにしても妻夫木くんはいい男v
 しかし、原作をあそこまでいじってしまったのは、いかがなものか。やはり時間枠の問題なのかな。まずは主人公が違う。原作での主人公は、「破線のマリス」で映像を悪用した遠藤瑶子のかつての部下・赤松。原作の彼がお気に入りだったのだけど、映像化での主人公となると地味すぎたのかな。原作では長坂も八尋もドラマほどいい男ではありません。かえってやな奴って感じがびしばし伝わってくる。そこもまったく違う。そういうことをまったく気にしなかったら、ドラマとしてかなりいい出来だったと思います。

 人間の悪意を、報道という手段で具現した『破線のマリス』。そのマスコミが生み出したカリスマ八尋を描いた『砦なき者』。八尋は砦のない者はこうやって弱者を踏み台にしてのしあがっていくしかないのだと語る。その怪物を粛清するにはやはりマスコミの正義でしかない。なんだか空恐ろしいほど奥の深い物語だなぁと思いました。面白かった。



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