酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年03月22日(月) 『壬生義士伝』下 浅田次郎

 吉村貫一郎は切腹。息子・嘉一郎はたったひとり父のために戦いに参戦する。吉村が守り続けた愛する妻と三人の子ども。嘉一郎だけは大好きな父のため若い命を捧げるのだった・・・。

 吉村貫一郎にかかわったさまざまな人たちから回想を聞くことで、吉村の人生が見えてきます。息子の嘉一郎のまっすぐな短い生き様には涙あふれてとどまることを知りません。愛とは家族とはこういうものなのだなぁと。
 映画で観た「壬生義士伝」は時間と構成の問題から(だと思います)、斎藤一と大野千秋のふたり語りで進められていました。上下巻からなる壮大な物語を短縮するにはうまいやり方でした。映画も原作もそれぞれのよさがあります。ただやはり原作から溢れ出るものの全てを映画では出し切れていない。吉村とその息子、そして吉村の竹馬の友・大野。そういう軸となる人たちの姿は原作でしか感じることはできませんね。
 生きるということを、愛するということを、根底から考えさせる物語でした。

 本物の男てえもんはね、そこがちがうんです。
 どんなにてめえより強え相手に立ち向かうときだって、本物の男はあすこまで気迫を見せることはねえ。本当に力が入るのはね、てめえ自身の心に立ち向かうときなんだ。

『壬生義士伝』下 2000.4.30. 浅田次郎 文藝春秋



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