酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年02月28日(土) 『ひとごろし』 明野照葉

 泰史は、13年来行きつけの洋食屋『琥珀亭』を手伝いはじめた弓恵に惹かれる。目が合っているのに合っていないような、視点がよそに逸れているような不思議な女。『琥珀亭』のママ、美恵子の心配を潜りぬけ、ふたりは付き合うようになる。泰史の妹・萌子は異常なブラコンっぷりで、弓恵の存在を嗅ぎつけ、反対をし、邪魔をする。そして初めの印象とはだんだんと変わり、仮面を脱ぎ始める弓恵。泰史は窒息しそうな愛の押し売り、大安売りの中で精神が破綻しそうになるのだが・・・。

 ひとごろしにひとでなし、そしてろくでなし。今の世の中、境界線っていったいどこにあるのだろう。そんなことをしみじみ考えてしまいました。
 明野照葉さんは好きな作家さんのおひとりですが、今回の『ひとごろし』はかなりよかったです。途中で「あ、そう落とすの?そうなの?今回はそうじゃない方がぁぁぁ〜」と勝手にはらはらしてみたり(笑)。しかし、そこはさすがの明野照葉さんです。私の浅はかな読みなんて見事に裏切ってくださいました。うまいなぁ。
 作家さんって、同じパターンで突き進む人もいれば、いい意味で裏切ってくれる人もいる。今回は気持ちよく裏切られました。面白い!

 気配の濃い人だとくたびれちゃうのよ。

『ひとごろし』 2004.3.8. 明野照葉 角川春樹事務所



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