酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2003年12月09日(火) |
『橋をわたる』 伊島りすと |
早川は、時給のいいアルバイトとして塾の講師をする。文学部なのに急遽算数の授業まで受け持たされてしまい四苦八苦。あるクラスの子供たちにイコールの概念を言葉と文章で教えていた。すると突然ひとりの少女が自分の顔を目玉をシャープペンで突き刺しはじめた・・・。
“血”をめぐるホラーというものがなぜかとても好きです。血って生命そのののだったり、エロティックだったり、なんだかぞくぞくする。この物語の主人公の早川くんはその血でサイコメトリーできるという不思議な能力を持っています。その力で傷ついた少女や好意を寄せた女性の哀しい体験を知ることになる。この物語の微妙な長さを読みやすかったと捉えるべきか、もっと重厚にするべきだったのにと残念がるべきか判断がつけにくいところ。ラストの少女の起こした奇跡がいいなーと感じたし、タイトルの意味とつけ方なども私的にはなかなか好みの物語でした。
血を介して他人を知ることは、スリルではあるけれど、また同時に地獄を見ることでもある。
『橋をわたる』 2003.3.10. 伊島りすと 角川ホラー文庫
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