酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年06月30日(月) 『闇から来た少女 ドールズ』 高橋克彦

 盛岡市にドールハウスが有名な喫茶店《ドールズ》がある。土蔵を改装した洒落た店で一階には《同道堂》という古書店がある。ドールズの経営者は月岡真司。同道堂の主は月岡の義弟、結城恒一郎。結城の姉は7歳になる姪の怜を残し死んでしまった。ある夜、気がふれたように家を飛び出した怜が交通事故に遭ってしまう。月岡の親友、戸崎(医師)の病院で治療を受ける怜の様子にただならぬ数々の異変が起こりはじめ、恒一郎は、店の客で密かに思いを寄せる香雪(人形作家)とともに怜の異変の謎を探るのだが・・・。

 ううーっ、何度読んでも素晴らしい物語です。高橋克彦さんという偉大な作家さんの作品の中では以前書いたこともある<記憶シリーズ>と並び、愛してやまないシリーズがこの<ドールズシリーズ>ですv 本当はもっともっと突っ込んで書きたいのですが、まだ読んでいないかもしれない“そこのあなた”のために自粛。是非是非読んでくださいね。日本人ならではの感性を心行くまで楽しめるはずです。オススメ度にはかなりかなり自信ありっ!でございます。
 内容を詳しく語れないので、装丁のことなど触れてみようと思います。実はこのシリーズは三作まで出ていて二作目までは文庫化されています。私は二作品を中央公論社文庫で揃えています。今は角川さんでも文庫化されていて表紙のイラストの違いに驚きました。私個人としては、中央公論社文庫さんの深津真也さんのイラストが最高に好きなのです。怜ちゃんのイメージにぴったりなんですよー^^v 勿論、角川さんのイラストも怖くて綺麗で素敵ですけどね。

 「はじめは読者を怖がらせるためだけのホラー・サスペンスを意図していたのに、ずいぶん違うものになった。それでも満足している。怪奇小説は不可思議な話が多いものだが、世の中にひとつくらい、合理的な展開に終始する怪談があってもいいだろう。怖いのは結局、人の心である」

『闇から来た少女 ドールズ』 1989.12.10. 高橋克彦 中公文庫 



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