箱の日記
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2014年07月07日(月) 旋回




灯台の光のすじに追われるように

夏は逃げていった

ひんやりとあきらめが降りてきて

ふたりは黙った

鯨くらい大きな船(それはじっさいのところ

鯨だったのかもしれない)が旋回しはじめると

まわりにさざ波が立って

じきに岸へと打ち寄せた

もう帰らないとね

そういうふうに波音がしつこく言うので

わたしたちは車に戻った

エンジンの音も

海岸道路から街へとつづくハイウェイのことも

距離をしめす標識の文字も

話をした内容も

覚えていないけれど

鯨の影はあたまの中でずっと旋回しつづけていた

ほんとうに船だったかよくわからないあれは

なにかとてもすごいものを

まちがった場所に運んできたにちがいなかった




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