.第5話:『GROWIN’UP』

一次のテープ審査を無事通過して、8月1日の地区予選に向けてますます練習に熱が入る『CINQ』のメンバー。この地区予選で一位をとらないと、東京での本選に出られないから。
 誰も口にしないけど、最終目標はメジャーデビューだと、誰もが心の中で思っていた。
  
 そして、当日。
 会場のホールにあたしたちが到着すると、すでに出場するバンドが何組も集まっていて、熱気と独特の空気であふれていた。  
「見ろよ、浅倉。『Proclaim(プロクレイム)』の連中だ」  
「でも嶋田さん、あいつら、解散したんじゃなかったっけ?」  
「一度はな。でもほとんどが同じ大学だから、再結成したんだろ。あいつらが出てきたとなると、手強いよな」急に真剣な顔になるリーダーと浅倉さん。あたしは訳がわからずに二人に聞く。 
 浅倉さんが言うには、彼らはふたりの高校の後輩で、元々は天城中央高の軽音部時代に結成したバンドで、当時の人気ナンバー1だったという。  
「プロクレイムだかプログラムだか知らんけど、俺らの実力を出しゃいいことじゃん。関係ねーよ」こういうときは浩司の強気な発言が頼もしく思える。みんなの緊張がほぐれた時、リハーサル室のドアが開いた。
「六番から十番までの方は舞台にお願いします」
 舞台袖で待機するあたし達。なぜか全然緊張することなく、やがてあたしたちの前のバンドの演奏  が終わった。

 「・・・エントリーナンバー9、『CINQ』の皆さんです!」
「・・・・・よっしゃいくか!」ライブでのお約束・円陣を組んで気合いを入れてあたしたちはステージに飛び出した。
 大舞台のはずなのに、あたしたちはいつもと同じように、・・・ううん、いつも以上にリラックスして、それでいて気合いの入った演奏を繰り広げている。
 うん、いいね。今日はみんなのってるよ。メンバーと交わす視線・みんな楽しそう。みんな音楽が好きで好きでしょうがないって、すごくいい顔している。リーダーも、浅倉さんも、麻里も、それから浩司も。

 間奏・浩司のギターソロ。やっぱりかっこいいな。やっぱり好きだわ・浩司のこと。
 最後の音が消えていく瞬間、割れんばかりの拍手・拍手・拍手!
 聴いてくれて・どうも・ありがとう!あたしたちは感謝を込めて何度も頭を下げた。

 全てのバンドの演奏が終わり、いよいよあたしたちが待ちに待ったあの時間がきた。
 
 「第5回・ジャパンミュージックフェスティバル地区予選・審査結果を発表します!」
                     (『GROWIN'UP』Δ砲弔鼎)

2002年07月02日(火)


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