清沢洌の『暗黒日記』(岩波文庫)を読む。 太平洋戦争中の国内の様子と、それをぶった切る良識的リベラリストの忌憚のない意見が素晴らしい。 モノがないため窃盗が横行し、電車が乗客に壊され、棺桶を使い回す。 日曜日が廃止され、子供が学校でなく工場に駆り出される。 勤労奉仕。国のために長時間タダ働きだ。そして、しまいには工場を稼動させる燃料すらなくなる。 明らかに国の状態として狂っている。破壊されている。 悪夢を見ているようだ。 そういう現実に目をつぶり精神論で戦争をしようとする。行き詰まれば「仕方がない」だ。 誰も責任を取らない。 ポツダム宣言受諾をもっと引き延ばして本土決戦をしていたら、本当に日本人は激減するところまで行ったかもしれない。 だからと言って原爆投下がよかったとは言わないが、本当に戦中の日本は異常だったとしか言えない。 その特質は、戦後65年経った今はようやく少し改善されているような気がする。 またデスノの話に繋がって申し訳ないが(笑)月が、自分の「システム」を自分が死んでも機能し続けるような策を取っていたら、ある意味で彼は「神」になれたかもしれない。 どれほど高邁な理想を語っても、「自分のあずかり知らない未来」を思いやることが出来ない人間は、俗物にすぎない。
|