Dance日記帳
モクジキノウヨクジツ


2003年08月11日(月) Miss you so much

頭の中は、クッキーのことでいっぱいなのである。
何をしていても頭にうかぶ。
「死んだわけじゃないんだし、おおげさだよ!」と周囲には言われるんだけどね。
まるで突然失恋しちゃったかのような、空虚感と喪失感。
二度と会えないわけじゃないのにね。私ってバカみたいー。あはは。

たった一晩いなかっただけなのに。
お風呂に入る時は、いつも脱衣所のところで寝っ転がって待っていたし、こうして日記を欠いている時はあしもとで丸くなっていた。
食事をする時は、ぴたっと真横に座って「ちょうだい♪」という上目づかい。眠る時は、いつも身体のどこかにあの犬の重さとぬくもりを感じていた。どんなささいなことも、まるでとても懐かしいことのように思われて、心の底がズキンと痛くなる。
床に置かれた、水を入れたボウルを見るだけで泣けてくるんだもんね。

死んだわけじゃないよ。ただ怪我しただけ。でもって、単に大事をとって入院しているだけ。
ちゃんとわかっているんだけど、側にいないってだけで、それだけで涙が出るんだ。歳をとると涙腺がゆるむって本当だ。

昼過ぎ、神楽坂まで車を飛ばして面会に行って来た。

まるで、長年片思いしてきた大好きな彼に会いに行くような気分。

ケージに入れられたクッキーは、しょんぼりした様子でだらしなく横になっていた。
「驚くぐらいいい子でしたよ。ケージから出して軽く散歩させてトイレさせて、その後戻ってきても、普通だったら脱走とかしたがるものなのに、あっさり自分のケージにはいっていくんですよ。」
たぶん、諦めきっているのだろう。
今までなじみのある獣医さんでもなく、美容院でもない。何一つ知らないところに突然連れ込まれ、そのまま置き去りにされている。でも、絶対に迎えに来てくれるはずだから、黙って待っていようとしているのだろう。犬なりに状況を把握しているのかもしれない。

診察室のドアから入院施設の部屋のドアを開ける。
しばらく寝ぼけたように「なんでいるの?夢なの?」って顔をしている。
「いい子にしてたのね。ごめんね。」と声をかけるとようやく私の存在が実感できたらしく立ち上がる。
左足にはギプスが固定されている。
ケージのドアがあけられると、すぐに抱きついてくる、まるでしがみつくかのように自由になる3本の足でがっちりと私によじのぼる。
可哀想に、昨日は寝付かれなかったのだろう、胸のあたりの毛がよだれと涙でゴワゴワになっている。
毎晩、私がお風呂からあがると、自分の身体を拭いてから、クッキーの身体をひととおり拭いて綺麗にしてあげている。そして毎朝、父がブラシをかけてやっている。たった一晩で、まるで迷い犬のような姿になってしまった愛犬を見て、また泣きたくなった。
ギプスに固定された左足は、右足に比べると驚くほど晴れ上がっていて、本当に痛々しい。
本心は、時間が許す限り抱っこしていたかった。でも、あと2日は少なくとも入院しないとならない。
あまり長時間抱っこしていたら、余計に今晩辛い思いをすることだろう。私も辛いけれど、心細い思いをして、もっと辛い思いをしているのは犬のほうなのだから飼い主としては我慢するしかない。
一度ケージに戻そうとするが、すぐにしがみついてきてしまう。
その必死な姿が見ていて、胸が張り裂けそうになる。
「大丈夫。あと2泊だけ頑張ろう。みんなクッキーが戻ってくるのを待っているからね。早く良くなろうね。明日も絶対会いにくるからね。」
鳴き声ひとつあげず、すがるような目をするだけ。いっそのこと、家に帰りたいとぎゃんぎゃんうるさく吠えてくれたほうがいいのに。
クッキーの姿を見ながら、院長先生が「今日は連れて帰ってもいいですよ!」と言ってくれないものかと思う。
ふりむいて、ケージの中を見てしまったら、たぶん私の方が泣きそうだから、ふりむかずにさっさと入院室を後にした。
よろしくお願いしますと先生と看護士さんに頭をさげてクリニックを出た。
信じられないくらい、綺麗に晴れた空、やっぱりポロッと涙が出る。
このまま車を運転したら、視界がぼやけて危険。クリニック近くのカフェでアイスコーヒーを一杯だけ飲んで、心と涙腺を落ち着かせてから帰途につくことにした。

レッスンがあれば、アトリエでみんなに会えるし、踊っていれば、わずかな時間であっても辛いことは忘れられる。
今日みたいに、一日オフとなると、もう、一日中犬のことばかり考えてしまうから厳しいのだ。
早く明日になってくれ。
ダンスってすごいのは、それこそ失恋の辛さや、仕事のストレス、ほんのささいなトラブルも全て忘れさせてくれる効果があるところ。
時には、怪我をしている痛みさえも忘れて踊っていたりするものね。(経験者多いと思うよ。ひざに痣があって、普通に曲げのばしすると痛いくせに、一旦コンビネーションを踊り始めると痛みを感じなくなっちゃうの!)
ガシガシ踊っているうちに、小さな悩みはどんどん消えていく。一生懸命踊っている時は、「無我の境地」に近いものがあるから。

メールで励ましのコトバをくださった皆さんありがとう。
ダンスを踊っている時や、レッスンを教えている時は、どんな辛いことがあったとしても、みんなの笑顔のおかげで元気を取り戻すことができます。だから、心配しないでね!


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