きよこの日記

2004年01月05日(月) 田口ランディ『アンテナ』

かるーい気持ちで読もうと手に取りました。
田口ランディ『アンテナ』
湯船に熱めのお湯をはって、本を手に体を沈めました。
22時。
静かな冬の夜です。

物語は静かに始まります。
祐一郎の妹真利江は15年前のある朝、突然消えた。死んだのかも誘拐されたのかもわからないまま15年がたった。
その間に父は死に、おじは自殺し、母は新興宗教にのめりこみ、弟は発狂した。
そして、弟は言う「真利江が帰ってくるよ」

こ、こわい・・・。
天井から水滴が落ちてくるのも怖い。
怖さのあまり、私、湯船の中で体育すわり。膝の上に本を開いて、微動だにできません。
いやだいやだ。はやく怖くなくなって・・・!
と、思いながらどんどん深みにはまっていきます。
お風呂のお湯がだんだん冷めてきて、肌寒いのも心細さを助長します。

「怖い考えを払うように僕は首を振り、ポケットの中から家の鍵を取り出した。
 ふるい引き戸は古風な回し鍵になっている。暗い玄関の土間に入ってから、手探りで玄関灯のスイッチを探す。ところがスイッチの場所が見つからない。まとわり付く闇の中で僕は壁のスイッチを探す。ところがスイッチの場所が見つからない。まとわりつく闇の中で僕は壁をまさぐった。
 スイッチ、スイッチ、スイッチ・・・。
 どこだ。恐怖が膨らむ。来る、来る。闇の中に気配が立ち現れる。怖い。脳のシナプスはあちこちで点滅を起こす。断片的な映像がフラッシュバックしてくる。なんの意味も脈絡もない無数の映像。記憶の屑。平衡感覚を失い思わずタタキに膝をつく。痛い。膝を打った。しかめ面をあげた瞬間、ぞっとした。」

これがページの一番端なんですよ。
ページをめくる怖さ!!
だけどめくらずにはいられない!

今まで田口ランディの作品の中でも、けっこう現実的な素材を扱ったものばかりを読んでいたので、新境地発掘!
でも、ふと、思い出したこと。
ある男の人に「田口ランディなんて読みますか?」って聞かれた。
「ええ。何冊か読みました。共感するところがありますねえ」
なんて会話をしたんだけど、相手の人が、この『アンテナ』みたいな作品を思い浮かべて聞いてきたのだとしたら、う〜ん、ちょっと意味深な答えだったかもしれないなあ。


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