感想メモ

2009年11月21日(土) 食堂かたつむり  小川糸


小川糸 ポプラ社 2008

STORY:
インド人の恋人に室内のものをすべて持ち逃げされた倫子は、声が出なくなってしまい、渋々折り合いの悪い母の住む田舎へ戻る。そこで、予約だけを対象にした「食堂かたつむり」を開店させ…。

感想:
 評判がよいと聞いており、ずっと読みたいとは思っていたけれど、なかなか手を出す気になれなかったのだが、予約が少なくなって来ていたので、手を出すことに…。初めての小川糸の本…。なかなかいい感じだった。

 恋人に捨てられた倫子は田舎に戻る。そして、折り合いの悪い母に頼み込んで、食堂を開店させることに。

 食堂を自分好みに作っていく過程や、様々な料理を一から作っていく描写など…本当によい感じで、特に料理を作るシーンがおいしそうで…。

 店で食事をすると願い事がかなうというまことしやかな噂が立ち始め、物珍しく思う客がやって来るようになるが、その後は料理を食べておいしかった人が再びやって来るようになる…。

 以下ネタばれあり。






 母が病にかかり、初恋の人と結婚式を挙げることになり、その料理を倫子が担当する。大事に飼っていた豚のエルメスを殺さなくてはならないシーンはちょっとギョッとした。でも、人間はこうして動物の命をいただいているんだなぁ…と思った。

 母の死後、母の本当の気持ちが綴られた手紙が出てきて、倫子は自分がかなり母のことを誤解していたことなどに気づく。この手紙が何だか泣ける。

 母が最後に「声を聞かせて」と話しかけてきたときに、寝たふりをしてしまったことを倫子は後悔する。

 そして、母の死後、食堂は閉鎖したままに…。

 最後に野生のハトのことを母だと思って、料理をする場面はよかった。そして、自分が心を込めて作った料理を初めて食べた倫子は、ついに声を出すことができるのだった…。母の愛だったのかな…。

 死ぬ前においしいものは食べておくこと。そして、死ぬ前にわだかまりは取っておくのが望ましいこと…。そんなことを考えさせられるのだが、人間は結構死を前にしても素直になることができないものなのかも…。

 倫子が再び食堂を再開して、人の喜ぶ姿を見たいと思う最後もよかったと思う。


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