| 2009年02月22日(日) |
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 |
ハリケーンが近づく中、病院ではもうすぐ死を迎えようとする母を娘が見舞いに来ていた。母は娘に日記帳を読んでくれるように頼む。その日記帳には思いもかけぬ母と自分の生い立ちの秘密が隠されていた。
産まれたときに80歳で、そこから若返っていくベンジャミン(ブラッド・ピット)。出産時に母は死亡。母に息子を頼むと言われた父トーマス・バトン(ジェイソン・フレミング)は、息子のしわくちゃの顔を見たとたんに走り出し、息子を老人ホームの階段に置き去りにする。たった18ドルをおくるみに包ませて…。
たまたまベンジャミンを見つけたクイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、子供ができない体だった。信心深い彼女は、これは奇跡だと思い、誰もが見捨てるような赤ちゃんを拾い、自分の妹の子供だ…と言って育てることにする。誰もが長くは生きられない…と思っていたが、ベンジャミンは車椅子に乗り、やがて自力で立てるようになり…。
そんなときに出会ったのが、老人ホームに入居する祖母を見舞いに来ていたデイジー(ケイト・ブランシェット)。彼女はなぜか老人の身なりをしたベンジャミンに子供の魂が宿っているのを感じる。二人は意気投合する。
やがてベンジャミンは自力で働くことができるようになり、マイク船長(ジャレッド・ハリス)の船に乗って、世界を旅することになる。デイジーとは文通のやりとりをしつつ、人妻のエリザベス(ティルダ・スウィントン)と恋に落ちたり…。
一方デイジーも自分のダンサーとしてのキャリアを確立するために日々努力していた。海外のバレエ団にも誘われ、将来を嘱望されていたが、不慮の事故により踊ることができなくなってしまう。
2人が再び出会ったのは、デイジーの事故の傷が癒え、2人の年齢もちょうど同じくらいの40代の頃のことだった。やがて2人の間には娘が生まれ、幸せな日々が続くはずだったが、デイジーは老いていき、ベンジャミンはどんどん若返る。ベンジャミンは苦しい決断をすることになり…。
老いて生まれたベンジャミンが、だんだん若返っていく…そのことが最初のうちはとても面白いことのように感じ、物語に引き込まれる。
しかし、この映画を見終わると、やはり人間は生まれてからだんだん老いていくという流れが一番自然でいいのだと、つくづく思ってしまった。
実際にはこのようなことはほぼあり得ないとは思うのだが、もしこのようなことがあり得るとしたら、本当に辛いのではないだろうか。
ベンジャミンが下した決断は、どうして?と思ってしまったが、あとの展開を考えると、それもありだったのかなという気にさせられた。
このような重い題材を扱いながら、ちょっと笑わせる小ネタも入っていて、特に雷に7回打たれた男の話などは面白かった。
ベンジャミンの育ての母は素晴らしいと思った。誰にでもできることではないと思った。たとえ子供が生まれない体だとしても、老人の顔をした奇妙な赤ん坊…。普通なら尻込みすると思う。結局実の子に恵まれるが、それでも、最後までベンジャミンの母だった。ベンジャミンもまた、実の父の葬式で自分の母はクイニーだけだと言っていて、ちょっとじんときた。
この映画では人が死ぬシーンがたくさん出てくる。しかし、ベンジャミンや、老い先短いからとホームに連れてこられた犬は、なぜか長生きである。案外長く生きそうな人が呆気なく逝ってしまったり、長くないだろうと思われる人が長生きだったりするものだ。雷に7回も打たれながら、死ねなかった男もいる。
人の生き死には、基本的に自分でコントロールすることができない。でも、それでも生き続けなくてはならない。だから、毎日を精一杯生きることが大切なのかもしれない。
とりあえず、自分は同じ年代の夫と同じ風に年を取っていくことができる。これは幸せなことなのだな…と思った。
心に重いものが残ったけれど、色々考えさせるよい映画だった。
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