NHKの朝ドラが終わった。
子供時代の喜代美のエピソードはわりに好きだったものの、高校時代の喜代美のエピソードは非常に暗く、高校卒業後、大阪に出ていく頃の場面では、喜代美のことが嫌いで、苦痛だったのだが、落語と出会ってからはがぜん面白くなって、なかなか面白く最後まで見ることができた。
喜代美(貫地谷しほり)は後ろ向きな性格で、妄想がすごい。悪いほう、悪いほうへとついつい妄想が広がる…。でも、面白い家族に恵まれ、また大阪に出て来てからも落語と出会い、師匠や兄弟子に恵まれ、一つのことを続けるということで、次第に自信がついてくる。
一方、喜代美が天敵のように思っていた清海(佐藤めぐみ)。子供時代は挫折知らずで、みんなのアイドル的存在。喜代美は常に清海の影のようになってしまう。そのため、疎ましく思っているものの、なぜか清海は喜代美のことを特別に思っていた。こちらは順風満帆の人生かと思いきや、喜代美がブレイクし出した頃から、挫折を経験し、性格が暗くなってしまう。
この2人の対比の具合がとてもよく描かれていて、そのつど、考えさせられた。
喜代美の子供時代からの親友・順子(宮嶋麻衣)は冷静に物事を見つめ、そのつど喜代美のことを叱咤激励していく。こんなよい友達がいたから喜代美は道を踏み外さずに済んだのかも。でも、そんな冷静な順子が突然のできちゃった結婚…。それも双子を産むとは…人生ってわからないな、とか思ったけれど…。
喜代美の父(松重豊)は若狭塗箸の職人。喜代美の祖父(米倉斉加年)の伝統を途絶えさせてはならないと、修行を続けようと実家に戻ってくるのだが、その後、すぐに祖父が他界。独りで伝統を継いでいくことは難しく、兄弟子だったが、伝統若狭塗箸の未来に疑問を感じ、箸会社を興し独立してしまった清海の父(川平慈英)に塗箸を習う。この2人や喜代美の祖母(江波杏子)との間にも長年の確執があるのである。
若狭塗箸と落語、似て非なるものという感じだけれど、どちらも伝統というところでは同じ。喜代美の兄弟子で、師匠(渡瀬恒彦)の息子・小草若(茂山宗彦)は偉大な父のもとで悩んでいたが、それは喜代美の父も同様で、偉大な父のもとに生まれるということのプレッシャーを感じさせられた。
私は落語には全然興味がなかったが、劇中で演じられる落語のコントのような内容などを知って、少し落語のことが学べて面白かった。
さて、最終的に喜代美は落語家で大成するのかと思われたが、結婚10年後に妊娠し、突然落語をやめ、子育てと夫である草々(青木崇高)の弟子たちのおかみさんとしての生き方を選ぶのであった。
正直、終わりがあっさりしていて拍子抜け。それまでは感動の嵐が吹き荒れることが多かったのに、最後にあっさりとやめてしまったことがね…。ナレーターの上沼恵美子はこの20年後の喜代美のようだけれど、やっぱりおかみさんだけで終わりになってしまうのか…。
なんとなくだけれど、子供がある程度育ったらまた落語の道に戻るという選択だってあると思うのだよね。それなのに裏方が一番みたいな展開は…。まあ、喜代美の母(和久井映見)の生き方を否定してきた喜代美が、母の偉大さに気づくという流れはわかるのだけれど、今の時代とちょっと逆行していないのか?
やっぱりNHKだから、古い考え方を最後に持ってきたほうが受けがいいと思ったのかはわからないけど…。
なんとなく、喜代美には、子育てもしながら、草々のおかみさんやひぐらし亭のおかみさんとしても活躍し、さらに落語家としても活躍してほしかったな。どれも中途半端に…ということかもしれないけれど、そうやって毎日を忙しくしている喜代美が見たかった気がする…。
その選択は不自然ではないものの、同じ女としては一抹のがっかり感が残ったかな。
でも、よく練られた脚本で、本当に毎回楽しく見られたので、その意味ではとても満足できた作品だった。
兄弟子4人組、師匠、喜代美の家族、奈津子(原沙知絵)、「寝床」の常連さんたち、順子の父母、みんなみんな個性的で、ピッタリな配役だった。
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