今朝の日経読書欄「半歩遅れの読書術」で池内紀氏が「ナチ・ドイツと言語」(岩波新書)の紹介をされていた。2002年の刊行だが,「2005年9月の時点で読むと,実に的確な予告の書になった」といわれている。すなわち言う。「1930年代のドイツにおいて,ナチズムは圧倒的な力で大衆に働きかけた。そこに見てとれる典型的な言葉,また語り口のこと。
「簡潔で《断定的》な語法によって細かい議論を拒絶したり,「悪の枢軸」との対決といった《単純化》した論理で,あれかこれかの《二者択一》を迫ってみたりする…」」
「論点を黒白図式で《単純化》して示すこと,それを《くり返し》訴え続けること,断固とした口調で大胆に《断定化》すること……」
これは「ヒトラー自身が政治的宣伝の基本原理として公表したところであって,ナチス・ドイツの15年間を通してつづけられた」という。「単純化と,くり返しと,断定化が効果を発揮する土壌があった」という。「その言語と語り口が同時に「政治的現実をカモフラージュ」する効用をおびていた」という。
決して半歩遅れではない。今日その「成果」が選挙結果としてあらわれるのではないかと思うと,空恐ろしい。
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