今日の日経新聞は読み応えがありました。「銀行店舗で株販売」という記事があるかと思えば,金融相懇話会報告として「間接金融偏重是正訴え」という記事がある。前者は話は簡単で,銀行が株式を売れるようにする,これまで投資信託だけだったが株式も売れるようにする,という話。後者は銀行の収益力回復のため貸出金利の引き上げが必要だ,アメリカをモデルにして証券化が必要だとする。事実,別の記事で「貸出金利上げ,大手銀苦闘」「利ザヤ改善したい」「負担増,企業は難色」「交渉厳しく」というのもある。
これら見出しを見ただけで,だいたいの想像がつくだろう。こんな事で銀行は立ち直れるのだろうか。銀行が株式を売るなど,それは出来るだろうが,それで儲かるかというと,?だ。手数料自由化,ネット証券などの動きから考えて,こんな事で儲かるはずがない。利ザヤを上げる。それは結構なことだ。では,誰が金利を支払うのか。そんな簡単な話ではないはずだ。何をしているのだと言いたい。懇話会の学者先生も好きなこと言うよね,という感じ。
アメリカにならうのはよいが,アメリカならぬ,日本でそれが出来るのかと言うこと。日本では日本風に儲けないと儲からないのではないかと思う。問題はBIS規制などで,枠がはめられて,日本の銀行は身動きできなくなっている。従来,日本の銀行はあまり儲からなくてもよかった。だから,企業も低金利で融資を受けられた。それでうまく回っていた。突然自己資本比率規制だ,といわれて,日本の銀行は動けなくなってしまった。そこへ,不良債権の山が出来て,その償却負担に耐えられなくなっている。
一番儲かる投資銀行業務の力が弱いので,日本の銀行はすくんでいるように見える。株式の小売りなど儲からないだろう。もっともっと,投資銀行業務で力を付けないとだめだろう。ところがそう言う人材は外資に流れているようだ。そんなことはいってられないから,とにかく,儲かる投資銀行業務に力を入れるか,シティバンクのようにリテールで特色を出すか,そう言う選択が出来ていない。だからといって,日本的濃密な継続取引を強化するのかというと,それが及び腰。持ち合い崩れで,それもままならないかに見える。
先の記事から判断すると,相変わらずの横並び。株式の販売で儲けよう,少しでも金利を上げよう,では儲かるはずがない。商品開発,新規顧客ルート開発,その他イノベーションが必要だろう。株式販売だとか金利引き上げ(その交渉に相当のコストがかかるうえ,中小企業の倒産を招いて新たな不良債権がでてくる)など,儲からないところへ一斉につっこむのは止めた方がよい。
今日の日経新聞を読んで,悲しくなった。私の考えは間違っているのだろうか。
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