「 準備をしておけば、恐れることはない 」
英語のことわざ
If you are prepared, you don't have to worry.
English proverb
日本の 「 備えあれば憂いなし 」 と、ほぼ同じ意味で使われる。
用意することは防止すること ( Providing is preventing ) という表現もある。
中国の四川省で大地震が発生し、既に1万2千人以上の死亡が確認され、瓦礫の下などに生き埋めとなっている数も、1万人以上と発表されている。
先日、ミャンマー で発生したサイクロンに続き、アジア では大規模災害が相次いでおり、なんとも心配なところだ。
被災地には、人民解放軍や武装警察など、約5万人が投入されているが、道路が寸断されているため、一部の部隊は徒歩で移動しているという。
中国当局によると、各国からの支援も、交通状態が悪く、受け入れ態勢が整わないため、現時点では支援金と物資の受け入れに限定されている。
形式的な外交手段よりも、こういう場面での人道支援こそ “ 日中友好 ” の足がかりとなる機会であるから、政府も惜しみない支援を心がけるべきだ。
年に何度か中国への出張をしているため、昨日から今日にかけて携帯に 「 無事か 」 という内容の着信が多かった。
仮に、出張していたとしても、上海の周辺が多いため、地震による直接的な被害は免れただろうと思う。
一応、中国の事務所へ電話で安否の確認をしたが、予想通り、全従業員の無事が確認されたので、一安心というところである。
日本語力の堪能なスタッフによると、私の事務所がある地域は 「 福地 」 といって、昔から天災の少ない土地柄なので、心配は無用だという。
ただ、もしも大規模な災害に見舞われたら、日本のような防災対策が敷かれていないので、「 地震がきたら死ぬだけ 」 だと、笑って話していた。
けして笑い事ではないと思うのだけれど、日本のように、行政の怠慢を自由に糾弾したり、政府に物申すことができないため、そうするしかないのだ。
自分の住む地域が危険だと思えば、場所を移動するなり、個人的な努力で被害を防ぐしか方法はなく、国家に陳情しても埒があかない。
楽天的というよりも、「 騒いだって仕方がないさ 」 という諦めムードが強く、愛国心は深いけれど、政府に対する防災面での信頼は、極めて低い。
彼らから見た日本は、防災に関する意識水準が高く、国単位、地域単位の防災対策が、日頃から十分に練られ、幅広く浸透している印象が強い。
日本に住んでいると、そのような 「 恩恵 」 を忘れがちだが、安全な避難所の確保や、耐震基準が無い被災地の家屋を見ると、それを実感する。
同じ震度でも、建物の耐震構造が強く、安全な避難場所の確保さえされていれば、犠牲となる死傷者の数を、格段に減らせたことは間違いない。
日本人の長所は、天災など 「 マイナスの経験 」 から多くを学び、同じ失敗や悲劇を繰り返さないところにあると思う。
戦後、長らく平和を保ってこれた理由も、憲法や、安保条約の成果以上に、この 「 挫折から立ち直り、失敗から学ぶ 」 という民族的特長にある。
経済水準の違いもあるが、おそらく中国の被災地では、災害復旧後も同じ安全レベルの家屋を建て、避難所の設置も十分に行われないだろう。
普段は怠りがちな 「 備えあれば憂いなし 」 の心がけが、いざとなれば役に立つわけで、災害の経験から、それを知ることが肝要である。
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