Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年02月10日(日) 米海兵隊員が沖縄で女子中学生を暴行



「 連中を機銃で掃射した後に バンドエイド をくれてやる。

  − 俺たちは、そんなことをやってきた。 欺瞞だった 」

                       映画 『 地獄の黙示録 ( 1979 米 ) 』

We'd cut them in half with a machine gun, and give them a Band-Aid.
It was a lie.

                                 Apocalypse Now



ベトナム戦争を通して “ 人間のモラルを問う映画 ” が多くつくられた。

戦場では日常的に 「 死 」 が眼前にあり、それは人格を変える要素となる。


現在、日本の自殺者数が多い理由について 「 格差社会のせいだ 」 とか、「 心のケアが少ない 」 などと語る御仁もいるが、大きな間違いだと思う。

社会における所得配分の不平等さは、「 ジニ係数 」 という指標で数値化が可能で、それによると日本は 「 世界第二位の平等国 」 である。

一位はデンマークで、ワースト一位はアフリカ南西部にあるナミビアという国だが、ここでは上位10%の富裕層が、国全体の富の65%を握っている。

心のケアについても、特に日本の評判が悪いという話は聞いたことがなく、「 格差 」 や 「 ケア 」 が自殺率の高さだと考える根拠は成り立たない。

では、自殺者数が多い本当の理由は何かというと、様々な要因によって、「 死が身近にない 」 ことで、いとも簡単に死ぬ連中が多いからだと思う。


人間は 「 100%死ぬ 」 のだから、祖父母、両親や、知人の死を通じて、誰もが “ 死を身近な問題として経験している ” と思いがちである。

しかし、生命の誕生から死に至るまで、戦後の日本は病労死苦のすべてを病院に押し付け、赤ん坊が生まれるのも、婆さんが死ぬのも病院の中だ。

それに加え、どこからも爆弾が飛んでこない平和な環境に恵まれ、日々の暮らしの中に 「 死の現場 」 がなく、だからこそ、生命観が揺らいでいる。

本来、動物の賢さとは、「 生きるための知恵 」 をどれだけ持っているかが尺度となるわけで、ある程度の知性を持つ者が、自ら死ぬのはおかしい。

ところが、「 死が身近にない 」 ことで、生命観が希薄になり、自分が本当は死にたくないことを忘れ、衝動的に自殺する連中が増えているのである。


その証拠に、しょっちゅう 「 自殺したいよ 」 と愚痴っている輩が、中国製の冷凍餃子に毒物が入っていると騒いだり、環境問題を憂いたりする。

イラク戦争や、国際的なテロに日本が巻き込まれるとか、憲法が改正され、集団的自衛権を発動されそうだとか、そういう動きにも敏感に反応する。

つまり、何らかの形で 「 死を身近に感じる 」 ような出来事が起きると、自殺願望など吹き飛び、急に、我が身を案じて命乞いを始めるのである。

健康で、何の苦労もない輩が自殺を図る一方で、苦痛を乗り越え、不治の病と闘う人がいるのも、それぞれの耐性以外に、環境の違いが大きい。

また、病気の場合は 「 自分の死 」 と向き合うだけだが、戦争の場合には 「 自分が殺生する他人の死 」 とも向き合わねばならない違いがある。


沖縄県警沖縄署は、現地の女子中学生を強姦した容疑により、駐留米軍海兵隊キャンプコートニー所属の タイロン・ハドナット 容疑者を逮捕した。

13年前にも沖縄では同様の事件があり、当時、日米地位協定の問題や、基地移転の陳情が殺到したことから、今回も大きな騒ぎになるだろう。

沖縄など米軍基地のある地域では、このような危険と常に隣り合わせだという問題と、片や、基地をあてこんで経済が成り立っている矛盾がある。

危険だから、地元の治安を乱すからといった理由で、地元との交流を絶ち、兵隊を柵内に隔離することは、それほど困難なことでもない。

さらにいえば、東西冷戦が終結し、近代兵器の射程距離が伸びた現在は、沖縄の基地を縮小したり、部分撤退することも、十分に可能である。


ところが現実には、危険な米兵たちに 「 出て行ってもらいたくない 」 人々も現地に多く、そこが沖縄基地問題の難しいところになっている。

嘉手納などは、移転しても再開発が容易だけれど、僻地にある基地が撤退すれば、用地を提供している地主さんたちは 「 賃料 」 が入らなくなる。

また、相当数の兵隊が利用している飲食店、その他の商業施設も、穏便な共存を望んでおり、本土で想像している 「 沖縄 = 基地反対 」 ではない。

大事なことは、基地の中は 「 戦場 」 であり、そこには 「 平和な島へ観光に来た 」 のではない外国人がいる事実を忘れないことだ。

仲良くすることも大切だが、再発防止には 「 油断 」 が大敵で、兵隊に対する認識を地元で啓蒙しないと、これからも同様の事件が起こりうるだろう。






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