Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2006年11月27日(月) 職場の歩調



「 私はできる限りのことをしている。

  ただ、時には自分の思うようにはならない。

  物事とは、そういうものなんだ 」

                       タイガー・ウッズ ( プロ・ゴルファー )

I'm trying as hard as I can, and sometimes things don't go your way,
and that's the way things go.

                                   Tiger Woods



この “ as 〜 as … ( does ) ” で、「 … と同じくらい 〜 」 の形になる。

私ができるくらい一生懸命に、つまり 「 できるだけ一生懸命に 」 になる。


寒くなってくると、近所のスーパーで適当に材料を仕入れてきて、日本酒の熱燗と 「 おでん 」 なんてのも、意外と簡単で楽しめる。

切ったり焼いたりする調理の手間が省けるし、最近では粉末の専用調味料なんかも売られてるので、男やもめにも便利な一品といえよう。

何事でも哲学的に観察する人がいて、彼らに言わせると 「 おでん 」 とは、人生そのものであり、社会の縮図なんだそうである。

様々な人が同じ湯船に浸かる 「 公衆浴場 」 に例え、若くて歯が立たないのもいれば、煮えすぎてぐでんぐでんのも居ると、評したエッセイもある。

そういえば、自分の持ち味ばかり出してしまうものや、他人の味を吸うばかりのものもいて、そのあたりは人間社会とよく似ているかもしれない。


戦後の教育や憲法は、すべての国民の人権を保障し、自由の名のもとに、それぞれの多様性を認めてきたが、ここにきて問題が出てきた。

自由を奨励し、多様性を促進したのはよいが、「 投げっぱなし 」 で、それをコントロールする責任や、機能が疎かになってしまったのである。

矛盾する話だが、自由というからには、誰かが恣意的にコントロールしようなどと思ってはいけないわけで、こうなることは必定だったのかもしれない。

煮え立つ 「 おでん 」 の鍋で、そろそろ食べてくださいよと語る具もあれば、まだ待ってくださいという具、煮崩れてバラバラになりそうな具もある。

完成まで時間の掛かる具に合わせると、別の具の食べ頃を逃しそうだし、早すぎると持ち味の出ない具もあり、同じタイミングで食べるのが難しい。


強火でガンガン煮込んで味の出るものもあれば、そんなことをしたら風味が死んでしまう具もあり、その加減も難しいものである。

人間社会でも、上司から徹底的に鍛えられ、その才能を開花させる人材もあれば、ちょっと叱っただけで、首を吊ろうとする者もいる。

競争に勝てる組織として強い集団を形成しようとすれば一部が脱落するし、繊細で軟弱なタイプのご機嫌を取りながらでは、ロクな集団ができない。

企業には 「 強い戦闘集団 」 をつくる使命があり、脱落者を救済する義務などないのだが、脱落した従業員の一部は、あくまで利己的な主張をする。

最近では、本人のために良かれと思った上司の 「 愛の鞭 」 が、曲解した脱落者からの 「 パワーハラスメント 」 だという訴えに変わる例も多い。


何組かに分かれて山登り競争をした場合に、各チームの 「 一番遅い者 」 に合わせたペースで登ると、他のチームに負ける確率が高い。

誰にでもわかる理屈だと思うが、脱落者を放置して先へ進むと、遅れた者から不満が出たり、チームワーク が足りないという批判が出やすい。

ここでいう チームワーク とは、競争に勝つための協力であって、脱落者を救済することではないということを、理解できない者が多いのである。

現在、日本の企業では、こういった 「 誰に合わせて歩調をとるか 」 という、ごく単純な問題に頭を悩ませている経営者、管理職が多い。

それは、己の身体能力、実務能力、職業適性などを省みず、自分を脱落させたチームの非情さばかりを追及する人間が、急速に増えたせいである。


私は大学まで陸上競技に携わっていたが、目標の高さと実績の相互関係について、いくつかの経験から、セオリーを学んできた。

100人で10kmを走る際に、10人は40分以内、30人は50分以内、40人は60分以内、残り20人が70分以内に走ったとしよう。

ここで、「 50分以内に完走しなければ失格 」 というルールを設けた場合、単純計算だと完走者は40人ということになるが、実際はもっと多い。

理由は、それ以上に時間の掛かっている人間が努力をするからであって、おそらく、50分代前半の選手の多くは、新たな目標をクリアーするだろう。

逆に、「 70分以内に完走すればよい 」 というルールでは、前述のルールで50分を切っている選手の多くが、タイムを落とす確率が高い。


このように、人間というのは 「 頑張れば手が届く程度の目標 」 を持っているときが、一番、能力を発揮しやすく、疲労度も少ない。

目標が高すぎると、最初から諦めてしまいやすく、低すぎると、本来の実力や潜在能力が発揮されないもので、どちらにも問題がある。

前述の 「 パワーハラスメント 」 や、職場の 「 うつ 」 対策などは、忍耐力、持久力などで個人差があるために判断し難いが、判断の基準値はある。

その一つが、「 何割の者が脱落しなかったか 」 であり、大半は普通に働いていけるのであれば、脱落した本人が転職することこそ望ましい。

多様性を認めるのはよいけれど、本人の努力 ( 本人なりの努力 ) だけでは、どうしようもないケースもあるわけで、そこは自己認知が必要である。






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