| 2006年11月13日(月) |
ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行 |
「 銀行というのは、天気の良い日に傘を貸してくれるのに、
雨が降り出すと返してくれというところ 」
ロバート・フロスト ( アメリカの詩人 )
A bank is a place where they lend you an umbrella in fair weather and ask for it back again when it begins to rain.
Robert Frost
企業には 「 イメージ戦略 」 が重要で、競争に打ち勝つ極意となっている。
しかしながら、イメージさえ高ければ良い企業かといえば、そうでもない。
日経金融機関ランキングによると、イメージ評価の1位は 三菱東京UFJ、2位は 三井住友、3位が みずほ という順になっている。
ところが、顧客の満足度については、三菱東京UFJ が11位、三井住友 が21位、みずほ が28位と、いずれも ベスト10 にさえ入っていない。
顧客満足度での1位は 新生銀行、2位は ソニー銀行、3位は 大垣共立、4位は 池田銀行 と、小さくても努力している銀行に人気が集まっている。
新生 は、自行のATMが24時間無料で使えて、資産運用の相談に親切、ソニー は、商品・サービスが魅力的で、預金金利が高いと評価された。
中小企業の経営者を対象に野村経研が行った調査でも、今後、期待する金融サービス提供者として大手銀行を挙げたのは、たった10%である。
大手銀行は、事務処理が遅く、あまり高利回りの定期預金を扱っていないことなどが、顧客満足度の評価を落とす要因になっている。
また、金融危機には公的資金の投入を要求し、好景気になるや、未曾有の利益を挙げながら、預金者に還元しない狡猾さに、憤る利用者も多い。
統合、拡大によって、肥大化した組織は、競争に打ち勝ち生き残るための利己的な保身に奔走し、まったく顧客の利益など考えていない。
彼らは、バブル期に 「 誤った舵取り 」 をし、多額の不良債権を発生させ、日本経済を危うくした諸悪の根源でもあるが、その反省もまったくない。
友人には少ないが、知人の大手行員は何人かいるけれど、知識はあっても知恵がない 「 使えない人材 」 が大半で、組織の無能さが窺い知れる。
そんなわけで、私は日本の銀行が嫌いだし、幸いなことに無借金で経営できているため、アホ な銀行員と付き合う機会もなく助かっている。
日本以外の銀行も 「 他人の褌で相撲を取る 」 連中は似たり寄ったりで、社会の寄生虫みたいなものだと思っていたら、意外な銀行に遭遇した。
それは、バングラディッシュの 「 グラミン銀行 」 で、ノーベル平和賞を受賞したことから一躍有名になり、ご存知の方も多いだろう。
バングラディッシュは、国民一人あたりのGDPが、日本の100分の一しかない貧しさと、男性で50%、女性で27%という低い識字率で有名な国だ。
世界一といわれる10億ドルの経済援助を受けながら、世界一汚職が多いため国民生活に反映されず、「 世界の善意の墓場 」 と呼ばれている。
この国に生まれ、アメリカに留学して博士号を取った ムハマド・ユヌス氏 は、経済学者として教鞭をとったが、自国の貧困事情を憂いていた。
ある日、ユヌス氏は竹細工の製作で生計を立てる女性と出会うが、材料費を高利貸しから借りていたので、彼女の儲けは一日2セントしかなかった。
高利貸しに頼らず仕事をするための6ドルをユヌス氏が貸し与えると、彼女の利益は一日あたり2セントから1ドル25セントに、すぐに跳ね上がった。
以来、ユヌス氏は、同様に苦しむ人々に自分のポケットマネーから小額を貸し与えたが、そのすべてがすぐに返済されたのである。
わずかな材料費を高利貸しに頼り、利益の出なかった彼女たちは、無担保のお金をもとに自力でビジネスが出来るようになり、人生が変わった。
これが制度化されれば、多くの貧しい人が幸せになれると考えたユヌス氏は銀行に相談したが、担保のない貧困層にお金を貸す銀行はなかった。
仕方なく、自らが保証人となる形で貧困層に融資すると、全額が期限内に戻ってきて、その後の同様の試みでも、一切、貸し倒れは発生しなかった。
その後、弱者のための銀行は自分で作るほうが早いという判断によって、無担保小額融資の 「 グラミン銀行 」 が、1983年に誕生したのである。
貸し倒れを防ぐ秘訣は、借り手を5人1組にして債務の連帯責任を負わせ、銀行の担当者が、返済や自立の手助けを行う独自のシステムにある。
1件あたり平均融資額は67ドルで、貧乏人だけが借金をする資格を有し、行員もかつての借り手が多く、借金返済のアドバイスにも長けている。
現在、このシステムは60カ国以上に広がり、借り手320万人、融資総額は42億ドルという規模に達しているが、返済率は98%と高い。
個人への投資という同じ業態でありながら、日本の消費者金融 ( 大手銀行が経営 ) は、不当な取り立てや、生命保険の強制加入など問題が多い。
グラミン銀行を利用した借り手の46%は、貧困層から脱却したといわれており、彼らは 「 利己的に儲けるだけの冷淡な銀行 」 ではない。
金利はおよそ20%で、けして低いわけでもなく、そのうえ回収率が98%と高いので、人助けでありながら、利益の見込める事業としても成立する。
そんなわけで、海外の知人を通じて、将来、この事業への投資に加われる可能性を目下調査中であり、大いに興味を持っている次第だ。
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