Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2006年10月22日(日) 愛とはなにか



「 彼女は何にでも答えがあるものと思い、むさぼるように吸収した 」

                    グレアム・グリーン ( イギリスの小説家 )

She expected answers to every question, and she absorbed them hungrily.

                                Graham Greene



オーソン・ウェルズ主演 『 第3の男 ( 1949英 ) 』 の原作者である。

冒頭の短文は、別の作品 『 権力と栄光 』 からの一文を引用した。


過去に読んだ本や、映画や、雑誌、新聞の一節から、この日記のタイトル通り 『 今夜の気分 』 に合ったものを選び、まず冒頭に掲げている。

悲しいことだが、年齢と共に記憶力が衰え、言葉は覚えていても、どの本に書かれていたのか、どこに収納したのか、思い出せないことが多い。

誰かの文を 「 盗用 」 するのなら、適当にアレンジしても構わないのだろうが、「 引用 」 する場合は、原文のまま忠実にご紹介する必要がある。

日本語でも、英語でも、同じ意味を別の言い方で表現できるが、違う訳し方を試みたい御仁もいらっしゃるはずなので、「 原文引用 」 を心がけている。

記憶の片隅を辿り、書庫をひっくり返して、若い頃、どこかの空港で買ったペーパーバック 『 The Power and the Glory ( 権力と栄光 ) 』 を発掘した。


人生のすべてを知りたいと願う気持ちは、小説や、映画や、音楽に関心を持つきっかけであり、だからこそ若い頃は、それに対して夢中になれる。

だんだん年をとり、人生にはむしろ答えの出ないことが多いのだと気づき、悟りとも諦めともつかない落ち着きが、物事への探究心を追い払っていく。

だからこそ、中年の域に達してもなお、多趣味であったり、森羅万象に疑問や関心を持ったり、情熱的な生き方を楽しんでいる人には魅力を感じる。

また、そういう人から 「 答え 」 を求められたときには、真剣に考え、わからなければ調査し、自分なりの意見を答えようと思っている。

そういった質問のなかで、おそらく、大袈裟ではなく 「 過去最大の難問 」 と思われるものが、「 愛とはなにか 」 という質問である。


この質問に対し、自分の考えや経験を無視し、客観的なスタンスで論理的に回答することは、さほど難しいものでもない。

愛とは 「 いとおしく思う 」 気持ちであり、男女間のみにかぎらず、親が子供を可愛がるとか、そういった自然な情感を意味することである。

愛に似た言葉である 「 恋 」 は、誰かと 「 一緒になりたい 」 という気持ちであり、ちなみに万葉の世界でも、それ以外の意味に使われてはいない。

愛は、モノ や コト に対しても抱きうる ( 愛国心、愛読書、愛車など ) が、恋の対象は特定の人物にかぎられる。

愛を失えば人生に潤いがなくなり、恋をしなくなれば青春が終わる。


ただ、これは愛という言葉の 「 定義 」 を述べたに過ぎず、愛に悩んだり、苦しんだり、失敗したりして、その本質を問う人への答えにはならない。

もちろん私自身も、人間の感情というものは 「 非論理的 」 なものであり、簡単に言葉を並べただけで、その全貌が解説できるとは思っていない。

しかし、だからといって 「 答えがない 」 わけではなく、おそらく、人間が百人いれば百通りの愛が存在するために、結論的な回答が出せないのである。

それでも、想いを寄せ合う男女は、互いの愛に関する考え方に接点を求めようとし、そのすれ違いが溝になったり、負担になったりするのだろう。

愛し、愛されて、両側から太陽を浴びるのも愛だし、好きな相手と思い通りにならないことで、眠れぬ夜を過ごすのも愛である。


最近は充実してきたが、一昔前、弱かった頃の阪神タイガースの投手陣と同じで、愛の成果も 「 投げてみないとわからない 」 ものである。

密かに想い続けるのも愛の形だが、それでは、相手がどのような愛を求めているのか、自分の愛と融和できるのか、認知する術はない。

たぶん、趣味や芸術など多方面に興味を示し、積極的に活動している人は、まだまだ愛に対する探究心や、憧れ、情熱を棄ててはいないだろう。

自分のように、「 そんなメンドーなことより、お金儲けでもしてるほうが楽 」 などと思っている人間でも、以前よりは弱いが愛への憧れはある。

もし、誰かを 「 いとおしく思う 」 ことがあって、その先を知りたいと期待する気持ちがあるなら、いま、あなたは愛の最中にあると思って間違いない。






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