Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2006年09月20日(水) 牛丼復活の日



「 あまり口出しをしない政府が最善である。

  なぜなら国民は、よく自らを律するものだから 」

          トーマス・ジェファーソン ( アメリカ合衆国第3代大統領 )

That government is best which governs least,
because its people discipline themselves.

                              Thomas Jefferson



独立宣言書を起草した ジェファーソン は、「 民主主義の祖 」 と呼ばれる。

自由を尊重し、干渉を最小限に留める アメリカ の原点は、ここにある。


戦後の日本は、「 占領国アメリカ 」 の影響を強く受け、衣食住はもちろん、思想や、政治形態や、生活のすべてにおいて、彼らの真似をした。

少し余裕ができると、「 アメリカ頼み 」 では不安な気になってきたり、あるいは、「 アメリカを批判すると格好いい 」 のだと勘違いする人も現れ始めた。

当然、日本には日本古来の良さがあり、アメリカにはアメリカの良さがあり、それぞれの欠点もまた、同じように存在するはずである。

たとえば、「 個人の自由 」 と 「 政府の干渉 」 の関係について、一般的な日本人とアメリカ人の間では、ずいぶんと認識に差がある。

これも、どちらが良くて、どちらが悪いという問題ではない。


アメリカ産牛肉の輸入再開により、大手牛丼チェーンの 「 吉野家 」 では、販売休止から2年7ヶ月ぶりに、牛丼の限定販売が開始された。

世論調査の結果は賛否両論だというけれど、各店にお客が殺到し、台風の影響を受けた宮崎以外の店舗では、すべて 「 完売 」 という好況だった。

この日、吉野家の牛丼を食べたすべてのお客には、「 他の食物を摂る 」 という選択肢があったはずで、強制的に食べさせられた人は皆無であろう。

つまり、日本政府は 「 アメリカ産牛肉の輸入を認めた 」 ことは事実だけれど、国民に 「 アメリカ産牛肉を食べさせた 」 というわけではない。

すべてのお客が、自身の判断と嗜好によって、それを食べたのである。


日本人の中には、「 安全性が確保できないかぎり、個人的な判断以前に、政府が輸入を禁止し、国民の健康を守るべきだ 」 と指摘する人もいる。

つまり、各個人の健康問題についても、政府は介入し、責任を持つべきだという意見で、これは一見 「 筋が通っている 」 ようにもみえる。

たしかに、「 人体に有害な危険のあるモノ 」 の販売を国が認めて、一部の国民が望んだからといって許可するというのは、社会悪的な印象もある。

国民の大多数が、体に悪い 「 覚せい剤を使用したい 」 といっても、それが合法的に認められる社会になったりすると、世も末だろう。

では、「 アメリカ産牛肉 」 以前に、そのような前例はないのか。


日本で唯一、「 煙草 」 を専売している 「 J T ( 日本たばこ産業株式会社 ) 」 は、自社の販売商品に以下の注意書きを添えている。

「 喫煙は、あなたにとって肺気腫を悪化させる危険性を高めます 」

公然と 「 人体に危険ですよ 」 と謳いながら、煙草は堂々と販売され、おそらくは愛煙家の一部にも、「 アメリカ産牛肉 」 を不安視している人はいる。

煙草を吸って寿命を縮めたり、健康を害することがあったとしても、あくまでそれは 「 自己責任 」 として、政府は国民の喫煙習慣を承認している。

アメリカ人の喫煙率は日本人よりも低く、彼らは日常的に、自国産の牛肉を好んで食べているというのが現状である。


日本の愛煙家で、アメリカ産牛肉による BSE感染 を揶揄する人は、この時点で明らかに 「 論理が破綻 」 している。

しかも、健康面の因果関係として、「 アメリカ産牛肉が原因で健康を害した人 」 の割合と、煙草を原因とする症例数は、比較するまでもない。

牛肉は、「 アメリカ産以外にも替わるものがある 」 と言うかもしれないが、煙草の場合は 「 吸う必要すらない 」 ので、それも理由にはならない。

煙草を吸わない人でも、「 すべて健康に有害なことは避けている 」 と言い切れる人が、はたして何人いるだろうか。

そう考えていくと、「 好き嫌いの問題 」 であるとか、「 個人的な必要性 」 の尺度から、この問題を語っているとしか思えないのである。


政府に、「 俺の自由は認めろ、だが、国民の健康は管理しろ 」 と要求するのは、ずいぶんと虫のよい話であるが、ある意味 「 日本人的 」 でもある。

銃規制しかり、日本人の望む自由というのは、アメリカよりも 「 歯止め 」 と 「 拘束力 」 の利いた自由であることが多い。

この問題でアメリカ側が不満を漏らした一例に、「 我々は一台の欠陥車があっても、すべての日本車を輸入禁止にはしない 」 というものがあった。

個人が食べる、食べないを決めるのは勝手だが、国として制約を設けすぎることには、危険性に関する根拠も不足していて、少し疑問を感じる。

ちなみに私は、あまり牛丼が好きじゃないので食べないが、渡米の際にはアメリカ産牛肉を、美味しく食べているし、これからも食べるだろう。






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