「 火熱に耐えられなければ、台所から出て行くべきだ 」
ハリー・S・トルーマン ( アメリカ合衆国第33代大統領 )
If you can't stand the heat, get out of the kitchen.
Harry S.Truman
繁華街の夜、居酒屋にサラリーマンが集まり、がやがやと騒いでいる。
部下の愚痴、上司の愚痴、家庭の愚痴、愚痴、愚痴、愚痴である。
私も長く、勤め人だったが、退社後に会社の愚痴をこぼしたこともないし、打ち合わせなどを兼ねた飲み会以外は、あまり仕事の話もしなかった。
仕事中は自分の使命と役割を果たすことに集中し、その時間が過ぎれば、できるだけ自分のやりたいこと、仕事以外のことに時間を使いたかった。
今夜も、居酒屋で愚痴をこぼす諸氏を眺め、連れは 「 みっともないな 」 と見下していたが、私は、「 彼らは会社が大好きなんだよ 」 と評した。
仕事が終わってまで、仕事のことや、会社の話題に執着し、話し足りないというのは、私のような忠誠心の薄い人間にとって、まるで理解が及ばない。
できるなら、企業に対するその 「 情熱 」 を、本来、語るべき相手に、語るべき場所で、酒の力を借りずに熱弁されると、さらに建設的だと思う。
最近、親子が殺しあう事件が多いけれども、事実、愛情のこもった憎しみはただの憎しみより深く、憎しみのこもった愛はただの愛よりも強い。
だから、勤務する会社への不満や愚痴が多い諸氏は、そうでない同僚よりも、本当は会社に期待し、愛したい、愛されたいと願う気持ちが強いのだ。
ただし、男女の恋愛と同じで、「 愛し方を間違っている 」 と、相手に疎まれたり、嫌がられたりして、結果的に印象を悪くしてしまうことが多い。
経営者と違い勤め人の場合は、「 本当に嫌なら、辞めればいい 」 わけで、愚痴を言いつつも残留する人は、「 好きで続けている 」 としか言えない。
彼らが語る通り、そんなに 「 最悪な職場 」 ならば、そこで無理して働かなくても、世の中には無数の働き場所や、様々な選択肢が用意されている。
職業的なストレスや、プレッシャーが重荷となり、心身の調子を崩してしまうといった御仁は、特に、「 嫌なら辞める 」 ことが望ましい。
仕事のストレスやプレッシャーは、たいてい 「 その人にとっては、ストレス 」 だったり、「 その人にとっては、プレッシャー 」 であることが多い。
他の人には 「 なんでもない仕事 」 だったり、あるいは、重圧に耐え切れず転職した途端に、他の分野では難易度の高い仕事がこなせることもある。
転職すれば所得が下がることも心配だろうが、精神や肉体を破壊してまで 「 似合わない舞台 」 にしがみつくなんてことは、良い結果に結びつかない。
皆、「 似合わない舞台なら降りる 」、「 嫌な仕事なら辞める 」 のが適切だ。
小さいニュースだが、飲酒運転で懲戒免職となった中学の元男性教諭が 「 免職処分は重すぎる 」 と、市人事委員会に不服申し立てをした。
別に事故を起こしたわけでもなく、飲酒の検問に引っかかっただけなので、これが一般の会社員なら、「 懲戒免職 」 とは、極めて重い処遇だろう。
しかし、子供たちに 「 人の道を説く 」 などという、とてつもなく重責の掛かる職業を選んだのは、他の誰でもなく 「 彼自身 」 なのだ。
懲戒免職にならずとも、飲酒運転を 「 懲戒免職になるほど、重大な誤りではない 」 などと語っている時点で、教師としての適性は 「 0 」 である。
その点に気づいて、潔く 「 もっと、自分に合った舞台 」 を見つけ、出直して活躍してもらうことを、彼には期待する。
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