| 2006年09月13日(水) |
ワーキングプア と 多重債務者 |
「 俺が酒を売ると “ 密造 ” と呼ばれるのに、俺のお得意の連中が豪邸で
銀の盆に乗せて出すと、それは “ もてなし ” と呼ばれるんだ 」
アル・カポネ ( アメリカ禁酒法時代のギャング )
When I sell liquor, it's called bootlegging ; when my patrons serve it on silver trays on Lake Shore Drive, it's called hospitality.
Al Capone
お金が必要ならば、真面目に働いて稼ぐことが一番である。
真面目に働かない人間が貧乏なのは、いわば、当たり前であろう。
ところが現実には、そこそこ一生懸命に働いているにも関わらず、所得が低いために苦労している人々がいる。
最近では、そういう人たちのことを “ working poor ( 働く貧困層 ) ” と称したり、あるいは 「 負け組 」 として分類する風潮がある。
理由は様々だが、たとえば、会社をリストラされ、家のローンなどの支出は減らないのに、再就職が上手くいかず、所得の落ちた人などが代表的だ。
アルバイトを3つも 「 かけもち 」 して、それでも前職の収入に満たない人や、長時間労働の激務に耐えながらも、生活苦にあえいでいる人も多い。
また、そんな苦労を強いられている 「 親の実情 」 をみて、将来に悲嘆する若者や、夢を持てなくなってしまう子供たちもいる。
基本的に私は、「 自分の幸福は、自力で掴むもの 」 という主義で、自分が不幸な原因から目を逸らし、他人に責任をなすりつける人間が嫌いだ。
その代表格が、何かといえば 「 総理大臣が悪い 」 のだと批難する人種で、思い通りの社会にならない苛立ちを、すべて宰相のせいにする。
3日と空けずにブログで悪口を言ってるので、 「 小泉さんが辞めたら、どうするつもりだろう 」 と眺めてたら、案の定、次は安倍さんの悪口を始めた。
ここまでくると見事で、その徹底ぶりには、ちょっと 「 感動 」 すらおぼえたが、良い子は真似しないほうがいい。
生い立ちや環境に関係なく、「 自分のことは、自分に責任がある 」 ことは普遍の鉄則で、政治や社会情勢がどうあっても、その原理は変わらない。
もちろん私も、青筋立てて批難しないだけで、小泉総理の政策や、姿勢に対し、「 これは失敗だったな 」 とか、「 問題が多い 」 と感じる面はある。
彼の最大の失策は、「 人材派遣適用業種の規制緩和 」 だと思う。
規制緩和というより、それまで業種・業態で限定されていたものを、すべて フリー にしてしまったのだから、その反動は大きかった。
もちろん、規制があっても 「 抜け道 」 はあったので、非正社員雇用の割合は増える状況にあったが、公然と解放したことで歯止めが利かなくなった。
猫も杓子も、派遣社員、パート・アルバイトの雇用を促進し、あるいは作業のアウトソーシング ( 外注 ) 化が進み、正社員の雇用機会が激減した。
正社員が減ることで企業は固定費が削減され、一時的に利益が伸びる。
ところが日本全体をみると、所得の低い非正社員の割合が増えることで、消費は低迷し、国内マーケットの購買力は ガタ落ち になってしまった。
非正社員雇用でも所得の高い人はいるが、将来的に安定の目途が立たず、何の保障もないために、結婚したり、子供をつくろうとする人は減る。
実力に応じた格差社会の実現は結構だが、雇用の不安定な社会構造は、けして国益に叶ったものでなく、政策がそれを加熱させたことは大失敗だ。
駅のホームや街頭で、やたらと 「 人材派遣会社 」 のポスターを見かけるようになったが、これこそが “ working poor ” を生み出した悪因である。
政策以外に、姿勢として 「 小泉さん、それはないんじゃない 」 と不満に思う点は、頑張っている若手に 「 サポート 」 が足りなかったところだ。
最近では、後藤田 金融・経済財政担当政務官が、我が身を辞して金融の腐敗に一石を投じたのに、ほとんど何もしなかった件などが挙げられる。
銀行を中心とした日本の金融界は、とにかく腐っていて、ゼロ金利で未曾有の利益を挙げながら、預金者に還元もせず、自分勝手も甚だしい。
過去においては大蔵省も片棒を担ぎ、好き勝手にやらせていたが、さすがに度を越して衆人監視を浴びるようになり、金融庁の監視下に置かれた。
その後、次々と銀行の闇部が明らかにされ、摘発を受けるようになったが、盗人猛々しく、「 やりすぎだ 」 などと追求を逆恨みする声も出始めた。
銀行は儲かっているが、世間では 「 下層社会 」 という言葉が流行するなどして、“ working poor ” と呼ばれる人たちも増えてきた。
金持ちには媚を売るが、資産もなく、収入も低い人たちは、鼻にもかけない銀行が、彼らの生活を助けるはずなどない。
以前から、そういう傾向があったうえに、監督官庁の指導の下、不良債権処理を求められているのだから、当然の措置だと開き直るだろう。
そして、とことん困り果てた人たちが向かうのは、「 サラ金 」 である。
彼らとて商売なのだし、借りた人は当然、利息を付けて返す義務があるのだから、それを悪いとも、可哀相とも思わないが、違法な場合は別だ。
消費者金融の上限金利には、「 利息制限法 」 と 「 出資法 」 の二種類があり、その中間が 「 グレーゾーン金利 」 として存在する。
高金利が原因で返済に苦しむ 「 多重債務者 」 らを救済すべく、金融庁は自民党に提出するための 「 貸金業規制法の改正原案 」 をまとめていた。
ところが、どのような組織、あるいは人物 ( おそらくは代議士 ) の圧力が掛かったのか、最終的にまとめられた原案は、現状と何ら変わりなかった。
この原案が通れば、貸金業者にとっては好都合だし、あるいは、否決されたとしても、現状通りなので、ハッピーな結果となる。
この 「 腐った茶番 」 に呆れ果て、自らの力が及ばなかった責任を痛感した後藤田氏は、自らの職務を辞する形で、国民に警鐘を鳴らした。
若手がここまで頑張ったのだから、ぜひ小泉首相には 「 意気に感じ 」 て、それをサポートしてもらいたかった。
イラク戦争に荷担したとか、憲法改正で自衛隊に 「 人殺し 」 をさせるのかと息巻く人も多いが、人を殺すのに必ずしも 「 銃や弾薬 」 は要らない。
低所得者層を量産し、多重債務に追い込み、貸金業者に儲けるだけ儲けさせて、気の弱い人間を 「 自殺 」 に追い込めば、人は殺せる。
ちなみに、業務提携という体裁で、大手の 「 貸金業者 」 に資金を提供し、実際にそれを懐柔しているのは、ご存知の通り 「 銀行 」 である。
冒頭の、「 カポネ 」 と 「 お得意の連中 」 を、この関係に置き換えてみれば、なぜ、「 日本の金融業界は腐っている 」 のか、よくわかるだろう。
久々に長文となったが、多くの国民を死まで至らしめる可能性が高いのは、イラク戦争への参加でも、憲法改正による集団的自衛権でもない。
怠けず真面目に働いても暮らせない “ working poor ” を量産して、彼らの多くを 「 多重債務者 」 に追い込み、高金利を課すことである。
それを防ぐには、たとえ法的拘束力を発動する必要があっても、労働体系を元に戻し、賃金格差はあったとしても、正社員雇用を増やすべきだろう。
また、本来 「 ダークな存在 」 であった消費者金融市場を、やはり、元通り縮小し、喫煙と同じく 「 なるべく、やめときなさい 」 と指導したほうがよい。
そして、その影で甘い汁を吸っている銀行には、「 もう少し、国民のためになるサービス 」 が提供できるように、体質改善を求めることが望ましい。
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