| 2006年09月11日(月) |
9.11 米同時多発テロから 5年 |
「 豹は、その斑点を変えられない 」
聖書
The leopard cannot change his spots.
The Bible
欧米で使われる諺だが、由来は 旧約聖書 Jeremiah 13章23節からだ。
人の本性は変わらず、悪人に生まれれば、いつまでも悪人という意味。
戦争とは何かという質問に、「 ある平和な時期と、次の平和な時期の間の、休憩時間 」 と答えた人がいて、辛らつだが面白い見方だと思った。
利害関係のある同士が、互いに譲り合うことで平和を保つことは、たしかに理想的ではあるけれども、現実問題として難しい。
A.B 両国間が平和に保たれる可能性は、「 A=平和、B=平和 」 を選択する場合にかぎられ、どちらか一方が和平を拒めば、戦争は起きる。
また、どんな独裁政権であろうとも、( 勝ち目のある ) 戦争は一人で起こせるものでなく、支配層よりも、むしろ大衆の世論で決まりやすい。
トップが平和主義か、武闘派かという点は、評論家が 「 こじつける 」 ときに持ち出すだけの結果論であり、戦争勃発の直接的な原因ではない。
未曾有のテロによる衝撃から5年が過ぎ、また 「 9.11 」 がやってきた。
すべての死者を合計すると、2973人とされているが、ビルの残骸に含まれていたと考えられる約1100人の遺体は、最後まで発見されなかった。
イラク戦争を、「 アメリカが始めた 」 と公言する人もいるが、一国に甚大な被害を与えた事実を、「 攻撃 」 ではなく、「 単なる犯罪 」 とは考え難い。
したがって 「 9.11 」 は、当時、全米のメディアがこぞって伝えたように、「 真珠湾攻撃以来 」 の先制攻撃とみなすのが妥当であろう。
アメリカが 「 対テロ戦争 」 と名付け、アフガンやイラクに報復を開始したのも、けして、彼らが好戦的な性格であったことによるものではない。
アメリカには、日本の 「 小人閑居して不善を為す 」 と同じ意味の 「 何もしないことは悪をなしていること Doing nothing is doing ill 」 という諺がある。
惨劇の報復は、家族、同朋の犠牲に報いようと、大多数のアメリカ国民が望んだことであり、大統領一人が決めたわけではない。
仲間が殺されたことに対する私怨による 「 目には目を、歯には歯を An eye for an eye, and a tooth for a tooth 」 があったのも事実だろう。
ただ、大統領の支持率が一時 9割に達したことは、その証拠にならない。
アメリカは伝統的に、「 戦時には現職の大統領を批難しない 」 という風潮があり、それこそが、彼らの 「 強さ 」 に結びついているからだ。
阪神大震災も、「 9.11 」 も、身近な人間が被害に遭い、その直後に悲惨な現場を訪れた人間と、そうでない傍観者の間で評価は違う。
アメリカの報復に否定的な人々の大半は、痛みを知らない傍観者であり、ある意味、上っ面は、冷静で知的に平和を唱えているようにも見える。
ただし、その大部分が 「 血の通った意見 」 ではないので、実害を受けた人々の胸を打ったり、共感させるには程遠いのが実態である。
テロとの戦いは、「 憎しみの連鎖を増幅させるだけ 」 と冷ややかに語るのは簡単だが、「 豹の斑点 」 と同じく、話し合いで変えられないものもある。
あれから5年経ったが、救出や清掃に当たった約1万名のうち7割の人が、「 粉塵 」 などの影響で呼吸障害に苦しみ、後遺症は癒えていない。
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