「 イヴは知恵のリンゴを食べるやいなや、いちじくの葉に手を伸ばした。
女が考え始めると、まず頭に思いつくのは新しいドレスのことである 」
ハインリッヒ・ハイネ ( ドイツの詩人 )
As soon as Eve ate the apple of wisdom, she reached for the fig leaf ; when a woman begins to think, her first thought is of a new dress.
Christian Johann Heinrich Heine
ハイネといえば、ロマンチックな吟遊詩人というイメージが先行する。
実際は、とんでもない皮肉屋で、共産主義に傾倒した哲学者でもあった。
冒頭のフレーズは、善悪を知る木の実を食べて羞恥心をおぼえたイヴが、いちじくの葉をつなぎ合わせて腰にまいたことをからかっている。
なんとなく日本では、「 ハイネの詩集 = 乙女チック 」 みたいな印象が強いけれども、このフレーズをみるかぎり、乙女心を踏みにじった感じだ。
推測だが、愛やら恋やらで、人の心に届く詩を書けるようになるまでには、異性に関する苦労や、苦い思いを積み重ねたのではあるまいか。
男女交際の経験数が多いということは、同時に、異性問題での苦労も多いということであり、いつの世も、男女が理解しあえる関係づくりは難しい。
ロマンチックな台詞で女性を誘惑しつつも、心のどこかで先の関係を憂いて溜息をつくような、そんなハイネの心境がなんとなくわかるような気もする。
とはいえ、この世に女性がいなければ、それは淋しい世界である。
厄介な面倒もない代わりに、仕事に対する張り合いや、週末の楽しみや、生き甲斐といわれるもののすべてが、半減してしまうかもしれない。
女性にとっても、それは同じようなものではないだろうか。
やはり、この世には男性と女性がいて、お互いに警戒しながらも、なんとか打ち溶け合おうと、涙ぐましい努力をするべきなのだろう。
そのためには、男性と女性が、ほぼ同比率で存在することが望ましい。
中国政府の 「 一人っ子政策 」 については、ご存知の方も多いだろう。
人口増加を、経済や、社会の発展に適応させるための人口抑制策として、1980年頃から、一夫婦の子供を一人に制限する施策がとられてきた。
多くの働き手が欲しい農村部では徹底が難しく、最近は、アメリカなどから人権面での批判を受けたことの影響もあり、少しは緩和されてきている。
しかしながら、膨大に膨らんだ人口を、さらに無尽蔵に増やすわけにもいかず、いまだに中国の出産事情は、一人っ子が原則になっている。
政策の弊害は、現在の日本をはるかに上回る、超 「 少子高齢化社会 」 が到来する危険だが、実は、もう一つ危惧すべき重要な事柄があった。
それは、極端な 「 男女人口の不均衡 」 である。
農村部を中心に、親の面倒を老後も看てくれる 「 跡取息子 」 を確保する必要性から、一人しか子供が産めないなら、男児を希望する親が多い。
妊娠時、超音波検査で男児とわかれば出産し、女児の場合は人工中絶をするという風潮が目立ち、男児の出生比率は、女児より約2割も高い。
この不均衡は、将来的に、たとえば性犯罪の増加だとか、なんらかの弊害を生み出す可能性が高く、あまり好ましい傾向ではないはずだ。
中国では、女児を大切にするよう訴える全国規模のキャンペーンを始め、将来の男女比率を是正する取り組みが、近頃は盛んに行われている。
合コンでも、グループ交際でも、男女の比率が同じだからといって、必ずや、すべての参加者にパートナーが分配されるわけではない。
たとえ女性の参加者が多かろうと、少なかろうと、人気のある男性参加者にとっては、ほとんど困ることはないのである。
逆に、魅力の無い男性は、女性が少ないと 「 空振り 」 に終わる確率が高くなり、希少な女性側は、さほど魅力が薄くてもチヤホヤされやすい。
昔、「 女性3名 : 男性12名 」 の合コンをしたことがあるけれど、血と汗と涙で築き上げた男の友情が、音を立てて崩れそうになったものである。
しかも、その 「 女性3名 」 が、取り立てて美人というわけでもなく、「 当たりの無いクジを、必死で奪い合う様子 」 は、前代未聞の修羅場であった。
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