| 2006年08月25日(金) |
他人の役に立つ汗をかきましょう |
「 お金を儲けるだけのビジネスなら、粗末なビジネスだ 」
ヘンリー・フォード ( アメリカの企業家、自動車王 )
A business that makes nothing but money is a poor business.
Henry Ford
自動車の生みの親がベンツなら、育ての親はフォードと言われる。
大量生産方式を開発し、自動車を大衆に普及させた大功労者だ。
ここ数年、ライブドアや村上ファンドの錬金術に憧れ、額に汗して働かなくとも、成功者になれるのではないかと、勘違いする若者が増えつつあった。
その後、両者が逮捕されたことで、幻想を打ち砕かれた人も多い。
やはり、「 経営 」 とは 「 継栄 」 であり、一時的な儲けを狩るスタイルでは長続きせず、継続的で安定した成果を追求する姿勢が求められる。
それに、「 人生 = お金 」 でもないし、「 仕事 = お金 」 でもない。
人生には、それ以上に大切なこと、楽しいことがあり、仕事を通じて得られる成果も、金銭的な報酬がすべてではない。
フォードの名言が示す通り、ビジネスの価値は、お金だけでは決まらない。
それを、「 お金がすべて 」 と勘違いしやすい理由の一つは、己の成果を、目盛りのある単位で 「 測定したい 」 という心理によるものだろう。
しかしながら、世の中には数値で表されるものと、そうでないものがある。
たとえば、個人の能力や資質を評価する場合に、「 知力 」 はテストの点数や偏差値で表されるが、「 優しさ 」 に点数をつけることなどできない。
目に見える単位が絶対だという考えは、けして現実的ではない。
私自身、仕事を通じて学んだこと、得られた経験、めぐり会えた人々らは、仕事で得た報酬のように数値化はできないが、かけがえのない財産だ。
仕事を通じて成長したからこそ、現在の自分があるし、明日を生きる勇気、未来への希望を携えて、日々、明るく人と接することができる。
もし、一生安泰な蓄財があり、遊んで暮らしてきたならば、困っている人の痛みや、物事の善悪などについてさえ、判断できる力もなかっただろう。
失敗して落ち込み、奮起して再挑戦し、また失敗して、また立ち直る。
そんな繰り返しの中で精神力を養い、技術を磨いて経験を積んでいくうちに、いつの間にか自信をつけ、人と信頼関係を結び、今日の自分がある。
金融の仕事自体が悪いとは思わないし、物づくりをする仕事が、サービスを提供する仕事より上位だとも思わない。
しかしながら、どうも日本の 「 銀行 」 や 「 消費者金融 」 の実態をみると、ビジネスとして 「 志が低い 」 ような気がしてならない。
大手の各都市銀行の3月決算は絶好調で、6大金融グループの合計が 「 およそ3兆円 」 という、バブル期を上回る過去最高益を記録した。
少し前まで金融危機に逼迫していた彼らが、それを回避することができたのは、政府による公的資金投入や、ゼロ金利政策などのおかげである。
いわば、小泉政権の 「 痛みを伴う改革 」 が、ここでは国民に痛みを強いることによって、出来の悪い日本の銀行を救ったのだ。
そこまでして過保護に銀行を救ったので、各銀行のトップは揃って、国民への 「 利益還元 」 を口にし始めている。
ところが、口先ではキレイ事を並べながら、いまだに預金金利は低いままだし、店舗の統廃合によって利便性は低下したままである。
他の業界では考えられないことだが、彼らにとっては、それが当たり前で、世話になり、迷惑をかけた預金者を裏切ることに、何の抵抗もない。
お金という 「 単位 」 だけで物事を計り、人の気持ちや、信頼など無視し、ただお金を儲けるだけのビジネスをしてきた弊害が、ここに現れている。
物づくりもしないし、サービス業としての自覚もない彼らは、いわば、自分たちの利潤だけのために、操業しているようにしかみえない。
消費者金融のアコムは、顧客に遅延損害金を過大請求したり、契約の際に渡す書類に不備があった疑いで、金融庁から立ち入り検査を受けている。
利用する人にも問題はあるが、本来、この世に 「 サラ金 」 など要らない。
銀行が、彼らのメインビジネスである融資業務を怠り、あるいは不良債権から自分の身だけを守るために、余計なファンクションを置いているだけだ。
事実、アコムやアイフルなど大手消費者金融は、都市銀行と資金、業務面で提携しており、実質的に銀行の傘下にある。
高利貸しに又貸しさせてリスクを回避し、大損すれば政府から援助を受け、大儲けしても還元しない彼らは、一体、誰のために存在しているのだろう。
彼らに対し批判の声を上げる人も多いが、国民から 「 預金という人質 」 をとっているので、いつまでたっても態度を改めようとはしない。
ある意味、ヤクザより性質が悪いのである。
親しい友人で銀行に就職した者は少ないが、ごく一部、銀行で幹部になった奴と話をしてみると、他業種で働く者とは 「 何かが足りない 」 感じがする。
彼らも、額に汗する場面はあるが、それは、通勤や、移動のための汗で、物をつくったり、運んだり、「 他人の役に立つ汗 」 ではない。
働くとは、「 傍楽 ( はたを楽にさせる ) 」 の同義語であり、自分の儲けだけを目的にした世界では、身につかない経験なのである。
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