| 2006年07月31日(月) |
500円で名作のオーナーになれる時代 |
「 ショーほど素敵な商売はない 」
アーヴィング・バーリン ( アメリカの作曲家 )
There's no business like show business.
Irving Berlin
皆様は、映画の著作権における 「 1953年問題 」 をご存知だろうか。
オールドムービーファンには興味深い話で、推移が気になるところだ。
パラマウント社が、1953年に公開された 『 ローマの休日 』、『 第17捕虜収容所 』 の2作品について、廉価版DVDの販売差し止め請求を起こした。
旧著作権法では、映画の保護期間は公開の翌年から 「 50年 」 とされていたが、2004年1月1日施行の改正法で 「 70年 」 に延長された。
このため、1953年公開作品については、保護期間が50年か、70年なのかを巡り業界内で見解が分かれ、ついには法廷で争う事態に発展したのだ。
結果、1953年問題について、著作権は50年で切れたとする初の司法判断が下され、パラマウント側の敗訴で決着した。
パラマウント社側は決定を不服とし、知財高裁に即時抗告する方針を示したが、とりあえず、廉価版DVDの販売は合法的に認められたのである。
ちなみに、1953年は 「 映画の当たり年 」 として有名で、『 ナイアガラ 』、『 シェーン 』 などの名作が、続々と公開された年でもある。
映画ファンとして、これらの名作が 「 500円 」 で所有できるのは夢のような話だが、著作権を保有していた側にとっては大変な痛手だろう。
好きなのを選んで、ちょこちょこと50枚ほど買い集めたが、ビデオと違ってパッケージが薄いので、さほど邪魔にもならない。
年代的には古い作品ばかりだけれども、「 不朽の名作 」 と呼ばれるものが多くて、繰り返し観ても面白く、その感動は色褪せない。
劇場で観る新作映画も楽しみだが、古い作品には別の愉しみがある。
たまに、「 昔の映画は良かった 」 といった具合に、古い映画や音楽などを、現代の作品と比較して、懐古趣味的に賞賛する人をみかける。
ロックやラップなどを見下し、「 クラシックこそ、本物の芸術 」 と評価する人、そこにこそ荘厳な価値があるように語る人もいる。
現代の映画や音楽より、昔のものが良いのかというと、それは、ある意味で正しく、ある意味では間違っているように思う。
正確に表現するなら、「 昔の映画 ( あるいは音楽 ) で、現在まで受け継がれているものは素晴らしい 」 ということだろう。
長年の風雪に耐え、文化の変遷にさらされてなお、現代でも価値を認められている作品は、どんな芸術でも、間違いなく素晴らしいのである。
現代人には知る由も無いが、モーツアルトの時代にも、カスのような曲や、膨大なクズ作品があったはずで、いまに残っているものは僅かだろう。
それらも、音楽のジャンルに分類すると 「 クラシック 」 であり、ジャズでも、ロックでも、ラップでもない。
古いモノすべてが良いわけではなくて、現代まで継承され演奏されている 「 ごく一部の 」 楽曲だけをクラシックと呼べば、それは名作に違いない。
現代の楽曲の中でも、今後、数十年、数百年と継承される作品が出てくれば、後の世で 「 昔の曲はよかった 」 と、もてはやされるだろう。
今の若者からすれば、たとえば 「 ビートルズ 」 なんかは、そういった音楽として捉えられているのではないかと思う。
最近は、500円シリーズ以外にも、690円、980円などの低価格DVDが発売されていて、こちらは比較的に新しい作品も含まれる。
大手家電量販店で、『 西部開拓史 (1962年 米 ) 』 を690円で購入して、久しぶりに鑑賞したが、実に 「 excellent ! 」 としか形容のしようがない。
制作費数十億円の超大作を、わずかな投資で 「 所有 」 できるのは嬉しいが、欲を言えば、やはり劇場の大画面で楽しみたいものである。
いくら高価なAV機器を揃えても、映画や、オーケストラの名演奏は、家庭で侘しく鑑賞しても臨場感が乏しい。
500円DVDも良いけれど、古い映画を500円で上映してくれる映画館が出来たら、何度も足を運ぶのになァ・・・と思う。
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