「 賢者は、言うべきことがあるから話すが、愚か者は、
言わねばならないから話す 」
プラトン ( 古代ギリシャの哲学者 )
Wise men talk because they have something to say; fools, because they have to say something.
PLATO
堀江、村上、畠山、最近の逮捕者には共通点がみられる。
彼らは皆、饒舌で、目立つ存在であった。
それが犯行を隠すための工作なのか、あるいは別の理由によるものなのかは不明だが、とにかく逮捕前の彼らは目立っていた。
日本中の関心を引きつけ、まるで 「 私に注目してくださいね 」 と言わんがばかりのパフォーマンスを、それぞれが演じていたようにさえみえる。
おそらく実際には、愉快犯などの犯罪心理とは異なり、「 目立ちたい 」 のではなく、結果的に 「 目だってしまった 」 というところが真実だろう。
検察は堀江を 「 マーク 」 し、名監督は村上に 「 天罰が下る 」 と予見し、捜査官は事件当初から畠山に 「 犯罪の匂い 」 を感じ取っていたと言う。
また、一般大衆の多くも、彼らには 「 何かある 」 と、気配を感じていた。
もう一つ、彼らが共通して放っていたのは、独特の 「 嫌悪感 」 である。
彼らがカメラの前に立ち、口を開くたびに、喧嘩口調であろうが、釈明であろうが、視聴者の多くは 「 不快 」 に感じていたのではないかと思う。
耐震偽装問題でも、様々な関係者の中で最も饒舌だったヒューザーの小嶋社長が、「 どうも胡散臭い 」 という印象を放っていた。
科学的な判断の基に捜査は進められ、逮捕に至ったと思うが、彼らを悪人として大衆に印象付けたのは、その 「 嫌悪感 」 によるところが大きい。
マスコミの取り扱い方もあるだろうが、それ以上に、彼ら自身の話し方や、使用する言葉の選択、表情などに、印象の悪さを伝える要素があった。
お金を儲けたり、有名人になったりすることで、他人から妬まれ、あるいは敵ができたりすることが、ときにはあり得るだろう。
しかしながら、自らの弁舌によって、つくる必要のない敵をつくってしまったり、全体の民意を逆撫ですることは、けしてプラスにならない。
もし、逮捕に至らなかったとしても、テレビを通じて彼らを目にすることが 「 生理的に嫌い 」 と感じていた人は、少なくなかったと思う。
彼らは悪人であると同時に、世間の 「 嫌われ者 」 であった。
自分勝手な倫理観、他人から理解され難い商道徳、傍若無人な態度などが、言葉や表情に表れ、澱んだ空気を漂わせていたのである。
成功に至る道のりは人それぞれだが、「 正しい方法で成功する 」 ことが、継続的な繁栄には不可欠で、それを怠るといつか破綻が生じる。
また、専門知識に長けていたり、頭脳が明晰であっても、コミュニケーション能力が不足していると、良好な対人関係が構築できない。
通常は対人能力が高くても、人に言えない不正を抱えている場合、いつも嘘をついている状態にあるわけで、円滑なコミュニケーションが図り難い。
悪事を手助けするわけではないが、不正を働いたり、やましい部分を隠している人間は、目立たず黙っていたほうが、身のためであろう。
その点、すぐに底が割れてしまった彼らは、重罪人であっても、人としては 「 小者 」 であり、中途半端なアマチュアなのである。
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