「 我々はいまや、イエス・キリストより有名だ 」
ジョン・レノン ( ロックシンガー )
We're more popular than Jesus Christ now.
JOHN LENNON
前評判の高い映画を観るときには、以下の二つを用意したほうがよい。
それは、「 失望に耐える覚悟 」 と、「 連れに八つ当たりしない冷静さ 」 だ。
個人的な評価だけれど、トム・ハンクスの主演作品は 「 当たりはずれ 」 が大きく、前作が面白かったので期待して行くと、どうも肩すかしに遭う。
その原因は、彼の演技力がどうこうというわけでなく、脚本が陳腐だったり、物語がつまらなかったり、大半は彼以外のところにある。
私のお気に入りは、「 ビッグ ( 1988 ) 」、「 フィラデルフィア ( 1993 ) 」、「 フォレストガンプ ( 1994 ) 」、「 プライベートライアン ( 1998 ) 」 などだ。
逆に、「 グリーンマイル ( 1999 ) 」、「 キャストアウェイ ( 2000 ) 」、「 レディキラーズ ( 2004 ) 」、「 ターミナル ( 2004 ) 」 あたりはガッカリだった。
年代別に並べてみると、最近の出演作に 「 ハズレ 」 が多いわけで、初期の作品に溢れていた 「 輝き 」 が、いささか影を落としている感もある。
好きな俳優が出ているという理由ではなく、全世界中でベストセラーとなった小説の映画化という話題に触発され、「 ダヴィンチ・コード 」 を観た。
映画が面白ければ後から読もうと考えて、小説のほうは未読である。
一緒に観た人は、35歳の女性 ( 美人、既婚、子供なし、浮気相手あり、私とは関係なし = ただのお友達 ) で、こちらも 「 謎 」 の多い人物である。
別の人と観る予定で前売り券を買ったのだが、都合で行けなくなったという電話があり、ランチをご馳走する条件で映画をご相伴することになった。
もちろん、それ以上のことは 「 ご相伴 」 していない。
さて、映画のほうだが、宗教上の歴史にまつわる大ミステリーということで、既に世界各国では賛否両論が繰り広げられているらしい。
未見の人も多いと思うので詳しい説明はしないが、私自身は 「 う〜む 」 という印象で、正直、楽しめなかった。
ただ、今回は、映画の内容がどうこうというより、作品の重要なテーマである 「 キリストは神か、人間か 」 といった、根幹に関する点が大きい。
それが人によっては 「 大問題 」 なのだろうけど、無宗教の私にとっては、「 どうでもいい 」 わけで、だから、作品自体がつまらないのである。
その秘密を巡って謀略が展開されたり、連続殺人が発生しても、自分には関係ない世界の 「 内輪もめ 」 にしか感じられず、物語に引き込まれない。
なんとなく、そういった精神世界を想像できなくもないし、歴史的建造物や、絵画や彫刻に残るキリスト教文化を、荘厳で素晴らしいとは感じる。
だからといって 「 セックスしないで生まれた子供が、神の使いとしてどうこうした 」 という話を信じるかというと、これはかなり難しい。
きっと、現代社会で新興宗教の教祖を名乗る人間が同じ事を言ったなら、ほとんどの人は信じないのと同じで、科学的な裏付けのない話である。
信じたい人が信じるのは自由だが、信じない人には通じない話だ。
それはキリスト教にかぎらず、どの宗教も同じなのだが、聖書には名言が数多く記されているし、ある種の 「 SF 」 として読むには面白い。
もし、本当に神や、人々を導く教祖みたいな存在があるとして、それが立派で正しい立場なら、「 自分のことは自分でしなさい 」 と言うはずである。
神や宗教に頼ったり、うまくいかないことを第三者的な存在のせいにするのではなく、自分の責任で解決するように指導するはずだ。
ましてや、自分の宗教に基づいて、異教の民族と戦争をしたり、テロ行為で思い知らせたり、そんな信仰を強いるはずなどない。
宗教そのものが 「 悪 」 ではないけれど、歪んだ解釈で悪用する愚かさに、長く伝播してしまった現実を考えると、宗教信仰のマイナス面は大きい。
だから私は宗教など信仰しないし、また、信仰する必要もない。
鑑賞後、彼女 ( 同じく無宗教 ) は 「 面白かった 」 と言ってたので、宗教に関わらず面白いと感じる人もいるだろう。
たしかに、ダヴィンチの絵に隠された暗号とか、トリックめいた部位の解説は面白いが、あくまでも後付けなので 「 屁理屈 」 の域から脱せない。
また、仮にそうであっても、無宗教の人間にとっては 「 どっちでもいい話 」 なので、「 ふ〜ん 」 という感想しか思い浮かばないのである。
単なる推理小説、サスペンスとしては、さほど目新しくも、スリリングでもないので、私の評価は 「 ガッカリ 」 レベルであった。
彼女との映画談議も盛り上がらず、夕食をご一緒することもなく解散したので、別に期待していたわけではないが、そちらも 「 ガッカリ 」 であった。
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