Tonight 今夜の気分
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2006年05月03日(水) 油断する日本企業



「 重役の地位に定着している人間は、問題提起に対して解決のヒントを

  出すものだ 」

            マルコム・S・フォーブス ( フォーブス誌の元発行人 )

Executives who get there and stay suggest solutions
when they present the problems.

                   MALCOM STEVENSON FORBES



資本家、出資者が社長の会社と、雇われ人が社長の会社がある。

それぞれに一長一短があり、どちらがよいともいえない。


中小企業に多い前者は、一概にいえないけれどもワンマン経営の体質になりやすく、従業員の福利厚生面などでは 「 けちんぼ 」 のところが多い。

雇われ社長の場合は、「 自分自身も従業員の一人 」 という意識が強いので、たとえば退職金制度など、従業員の待遇改善に積極的だったりする。

前者の長所は、オーナーに話を通して合意を得られれば、大抵のことはすぐに決められるので、稟議や上申などの 「 決断が早い 」 というところか。

その点、経営責任者の肩書きがあっても、雇われ社長の場合は自分一人で決められないことも多く、それに反すると 「 独断専行 」 と批判される。

外資の日本法人や、大手の子会社の社長などは、特にそういったジレンマにさらされながら、舵をとっているのが実情なのである。


GWの最中だが、阪神と村上ファンドの間では攻防が繰り広げられている。

昨年はフジテレビとライブドアの間で一悶着あったが、単なる仕手戦なのか M&A かはともかく、既存の会社を狙う集団の動きが激しい。

問題の本質を語ると長くなるので省くが、簡単にいうと、企業側が 「 守り 」 という点に対して無頓着で、警戒を怠っていたのが根本的な要因だ。

知恵と、資本と、調査能力と、他人に恨まれても気にしない度胸があれば、既存の企業を手中に収め、大きな利益を得ることも可能である。

アメリカでは日常茶飯事に展開されてきたので、各企業では対策を講じる習慣が出来上がっているけれど、日本企業の多くには危機感が足りない。


以前にも書いたのだが、日本と欧米の文化の違いは、「 ドア と ふすま 」 の違いに象徴されていると思う。

日本人は、たとえ鍵がかかっていなくても、ふすまが閉まっていれば、それを開いて侵入してはいけないという 「 暗黙の了解 」 を共有している。

だから、「 僕の会社なんだから、他人のあなたが介入しないでね 」 みたいな不文律を、社会全体が認知しているものと思い込んだ油断がある。

過去において、それに反する動きもあったけれど、合法かどうかに関わらず、彼らは 「 乗っ取り屋 」 などと蔑まれ、好ましく思われなかった。

印象が悪いのだから、以後のビジネスにも影響があるし、紳士的でないというイメージを持たれるので、国内大手は積極的に参加しなかった。


ところが、日本の企業に着目する外国資本の参入があったり、社会通念の変化などによって、近年、ビジネスモラルに対する考え方が変わってきた。

賢い企業は、資本構成を見直したり、それなりの対策を講じてきたのだが、自分たちが狙われていることなど微塵も感じない企業もある。

あるいは、狙われてから対策を考えればよいと悠長に構えている会社も、多いのではないだろうか。

実際には、狙われて動き出されたら 「 ほとんど逃げ場がない 」 のが実情で、日頃の対策が重要なのだが、そういった意識が全体的に薄い。

フジテレビは難を逃れた形となったが、あのような大騒動を招いた時点で 「 経営者の無能ぶり 」 は露呈しているわけで、格好悪い話である。


経営に参画する幹部の大きな仕事は、「 会社を守る 」 ことでもある。

危なくなってから、マスコミを通じて情緒的に訴えたり、世論を有利に導こうとすることではなく、日頃の防衛構想を打ち立てることにある。

好きか嫌いかは別として、村上ファンドの戦法は合法的なものであり、企業体質の問題があったにせよ、阪神サイドには油断と怠慢があったはずだ。

これからは、既存企業と、それを狙う頭脳集団の攻防戦が、あちこちで繰り広げられる時代になるはずで、役員にとっては死活問題となる。

この問題しかり、憲法問題しかり、日本固有の 「 島国根性 」 的な油断が、危険な局面に対峙して試される時代になってきているようだ。






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