Tonight 今夜の気分
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2005年11月09日(水) 鬱とニート



「 活力と粘り強さがすべてを克服する 」

      ベンジャミン・フランクリン ( アメリカの科学者、政治家、文筆家 )

Energy and persistence conquer all things.

                            BENJAMIN FRANKLIN



最近、ニート ( NEET ) の人たちと話す機会が多い。

ニートとは、34歳以下で、学業にも仕事にも就いていない人たちである。


現在、彼らに労働意欲を湧かせ、職に就くまでの手助けをする公共事業 ( あるいは民間への委託事業 ) が複数あり、私もちょっと関係している。

原因は様々で、鬱病などメンタル面の不安を抱えている人、就業を困難とする問題のある人、あるいは単に 「 働く気が起こらない人 」 もいる。

彼らに話を聴くと、大抵は 「 働かなきゃいけないとは、思うんですけど 」 という答が返ってくる。

そこで私は、「 えっ、どうして働かなきゃいけないの? 」 という質問をする。

ここで、「 日本国憲法第三章第二十七条に“ すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う ” と書かれているからです 」 などと答える人はいない。


一番多い答は、「 将来が不安だから 」 というものである。

次いで、親兄弟がうるさいからとか、近所に体裁が悪いなど 「 世間体 」 に関する問題、現状の自分を変えたい 「 自己改造願望 」 などが続く。

では、「 今まで、どうして働かなかったの? 」 という質問を投げかけるのだが、ここで 「 明確かつ誰もが納得できる理由 」 を答えられる人は少ない。

そこで、学生時代までさかのぼって話を聴いてみると、ほぼ全員が 「 自分は働かない 」 と決意したわけでも、望んだわけでもないことがわかる。

つまり、なんだかわからないまま時間が過ぎ、ある日、気がつけば周囲から 「 お前はニートだ 」 と呼ばれていたというのが実態なのである。


最近、この 「 ニート 」 と呼ばれる人たちと、働いた経験はあるが 「 鬱病 」 が原因で再就職が困難になっている人たちを支援する仕事が多い。

なかには 「 ニートで鬱病 」 というダブルパンチみたいな人もいるのだが、その場合は鬱の原因が仕事上の問題ではないことが多いようだ。

面白いことに、必ずといっていいほど、「 ニートの人は、鬱の人を非難しない 」 のだが、「 鬱の人は、ニートの人たちを非難する 」 傾向が強い。

彼らの意見によると、ニートの連中は 「 面白そうな仕事、やりたい仕事が見つからない 」 ので働かないようだが、「 とんでもない 」 のだそうだ。

自分たちは、嫌な仕事、辛い仕事をさんざん経験して、仕事を一生懸命にやり過ぎたので 「 病気にまでなったんだぞ 」 と、たいそうお怒りである。


しかも、日本国憲法には 「 勤労の義務 」 が謳われているし、働かないのだから 「 納税 」 も果たせず、結婚したり、子供をつくる可能性も低い。

そんな調子で将来、もしも生活に困ったら生活保護などの適用を受けることも危惧され、それでは税負担を増やすだけの 「 お荷物 」 になりかねない。

この 「 言い分 」 は、たしかに的を得ていると思うが、では、そう非難なさる鬱の人たちは、それほど自慢できる立場なのだろうか。

ストレスの負担が強い仕事が勤まらずに、途中で役目を放棄したとしても、その仕事が消滅したわけではなく、結局、誰かにやってもらっている。

国民の義務は果たしていても、自分以外の誰かに負担を強いるのならば、会社単位でみると 「 お荷物 」 だったりするのではないだろうか。


働かない分、ニートの側に分が悪いような気もするが、おそらく、ニートでも鬱でもない人たちの大部分からみれば、所詮は 「 五十歩百歩 」 である。

ニートという立場を 「 一時的な現象 」 と捉えれば、嫌々働いている人たちよりは、「 情熱を燃やせる仕事をじっくり探す 」 ほうが正しい気もする。

さらに言えば、彼らが 「 面白そうな仕事がない 」 と思い込んでいる原因の一つは、鬱の人たちが伝播させている 「 マイナス思考 」 にもある。

仕事とは本来、やりがい、達成感を感じられ、お金だけではなく、自分を高め、人生を豊かにしてくれる意義深いもののはずだ。

それが面白くもないとか、嫌だとか、辛いとしか感じられないのは、職業の選択を誤ったか、自分自身の能力や性格にこそ、実は大きな問題がある。


鬱の悪い部分を書くと、大抵、掲示板やメールで批判される。

現代はストレス社会であり、鬱症状に悩む人は多いし、それを改善しようと治療に励んだり、克服する努力をされている方の多いことも知っている。

それでも、「 鬱の害悪 」 はたしかに存在し、たとえば被害妄想的に 「 仕事なんて面白くもない 」 とネットに書き込めば、閲覧する若者に有害である。

約百名近いニートの人たちに、「 仕事は工夫次第で、こんなにも楽しくて、価値あるものなんだよ 」 と伝えてきたところ、多くの人が適職に就けた。

鬱の害悪に触れることを 「 偏見 」 と批判し、マイナス思考をさも当然だと野放してきた結果が、ニートの大量発生にも少なからず影響している。






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